逆行した黒犬が獅子の心臓を守る話 (ページ3)

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レギュラス・ブラックの話ページ3

レギュラス・ブラックは静かにもう見えなくなった汽車を見つめていた。
なぜ、あんなことを言ってしまったのか。レギュラスには分からなかった。

レギュラスはグリフィンドールに憧れていた。
両親を裏切ってまで入ろうとは思わなかったが、もしも叶うのならば、その寮に入ってみたいと思っていた。

なのに、口から出たグリフィンドールを見下したような言い方。
わけがわからない。

そんな彼に代行し、私が言わせていただこう。
彼、レギュラス・アークタルス・ブラックもまた、転生者であった。

一度目の人生は、両親の教えを鵜呑みにし、闇の帝王であるヴォルデモートを崇拝していた。しかし家族同然のクリーチャーを無下に扱われたことから、帝王を裏切り、勇敢な死を迎える。一番最初に本当の意味であの暗黒の時代を支配するヴォルデモート卿に逆らった人物である。

しかしながらレギュラスには、前回の記憶がない。
感覚だけは身についているであり、他は全くと言っていいほど前回のレギュラスとは違った。

例として一つ。

レギュラスは水と暗闇を非常に恐れていた。
そこにいればなぜか震えが止まらなくなり、猛烈に不安になる。
そしてなぜか、無意識のうちに、ただひたすらと兄に助けを求めているのだ。

その理由を未だ彼は知らない。
そしてこれからも。

シリウスが目を光らせているうちは、彼が前回の記憶を取り戻すことは、ない。