検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:54,499 hit

主治医として ページ29

俺は二階堂渚。

さっき、黒木くんから話を聞いて、少し悩んでいるところ。


(アヤに会わせても大丈夫だろうか…)


PTSDの原因、予想の1つはいじめ。


もし、本当にそれが原因だとしたら、アヤは心を保てるのか。

しかし、会わせた方が、なんらかの記憶を取り戻せるかもしれない。


この永遠ループに嵌ってしまった俺。


(マジでどうしよ…)


頭を抱えたとき、


「あれ? 二階堂先生?」


アヤの幼なじみの1人、そして双子の片割れの、


「千翠(ちあき)くん…」


昼間の日差しが強いなか、生暖かい風が吹いた。


✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚


「部活じゃないの?」

「今日は休みなんですよ」


俺と千翠くんはカフェにいる。

ずっと旅館に居たんじゃアレだから、と思って
近くのカフェでアイスコーヒーを飲みながら悩んでいる時、偶然に千翠くんと会った。


「それより、どうしたんですか?
僕で良かったら話し、聞きますけど…」


ジンジャエールを頼んだ千翠くんは、それを手に持ちながら言った。


(双子で容姿はそっくりなのに、性格は真逆だな〜)


夕緋くんはどこかの少年マンガの主人公のよう。

言いたい事はズバズバと言う。

しかし、それは嘘がつけないという事。

それを周りの皆は分かっているので誰からも愛される。


それに対して千翠くんは穏和な少年。

いつもニコニコ笑っていて、見ていて癒される。

しかし、自己主張が貧しく、いつも夕緋くんの後ろにいる。



その千翠くんが、自分から俺の話を聞こうとしてる。

ちょっと驚きだったが、アヤの幼なじみのため、
先程まで悩ませていた事を話すことにした。



「……そんな事があったんですか」


手元のアイスコーヒーの中の氷は溶けてなくなっていた。

心なしか、味が薄くなったように感じたが、最後まで飲みきる。


「君はどうするべきだと思う?」


この選択は彼にとって重すぎただろうか…。

少しばかり、その発言を後悔したが、後戻りは出来ない。


「…アヤの幼なじみとして言いますね」


「きっとアヤなら、会いたいと思うはずです」


その口調はハッキリとしていた。


「…何故そう思うの?」

「ん〜、勘…ですかね」


その返答に思わず、ズッコケそうになるのを耐えた自分は偉い。


「でも、先生も決まっているんじゃないですか?」


思いがけない言葉に俺は苦笑し、


「まぁ、ね」



俺は千翠くんと別れを告げ、旅館へと向かった。

New Door→←手がかり



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アンジュ(プロフ) - ありがとうございます! (2018年11月19日 23時) (レス) id: bf4fe605a6 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - この小説、大好きです!更新、楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年11月19日 11時) (レス) id: 28bd392d70 (このIDを非表示/違反報告)
アンジュ(プロフ) - 投票、応援に感謝desu! (2018年9月7日 23時) (レス) id: bf4fe605a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふぶき(プロフ) - 私も2番でお願いします。これからも楽しみです!頑張ってください! (2018年9月6日 21時) (レス) id: 54c2af14f7 (このIDを非表示/違反報告)
アンジュ(プロフ) - 水族館に一票ですね! 緑野実鈴さん、投票をありがとございますっ! (2018年9月3日 15時) (レス) id: bf4fe605a6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アンジュ | 作成日時:2018年8月7日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。