【忍たま】作者の気まぐれ短編集 (ページ5)

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嫉妬ページ5

『見て見て喜八郎！食満先輩がすっっごくかっこいい！』

教室の窓から食満先輩を覗き見ているのは同じクラスの持田Aだ。Aは口を開けばすぐ食満先輩食満先輩とうるさくて仕方ない。

喜「はいはーい。カッコイイデスネー。」

『あ！？思ってないなー！』

そう言い頬を膨らませるA。僕の気持ちも知らないで、僕に対して食満先輩の良さを語ってくる。

僕も食満先輩はかっこいいと思うが、Aがそう言ってるとなんだか気分が悪くなる。

少ししたらまた外を見て食満先輩を探し始めた。僕は大きなため息をついて部屋に戻った。

滝「喜八郎、なんだか機嫌が悪そうだな。何かあったのか？」

部屋に戻ると同室の滝夜叉丸が部屋にいた。僕はAに対する愚痴を全て吐き出した。そうすると滝夜叉丸は笑いだしてこう言った。

滝「それは恋じゃないのか？」

認めたくなかった。あんなに食満先輩のことを好いているAのことを好きだなんて。Aは食満先輩が好きだと知っているのに...。

胸の奥が苦しくなる。どうすればいいのだろう。今日もきっと僕たちは同じ部屋で寝て、次の日には起きて授業を受けるのだろう。なにも変わらない。僕が何もしない限り。

そうぼんやりとしていたら結構な深さまで穴を掘ってしまっていたようだ。

喜「あーあ。少し埋めないと...」

そう考えている時だった。

『は？！』

まだ塞いでもいない落とし穴にAが引っかかった。Aが実技が苦手なのは知っていたが、ここまで阿呆なのかとため息をつく。

『やっぱり喜八郎かぁ...校庭に落とし穴を掘るなぁ！』

いや、まだただの穴ですが、と思ったが声に出したら怒られそうなので辞めた。

『もー』っと言ってA服についた汚れをはらい始めた。

喜「...Aは食満先輩に告白しないの？」

自分でも驚いた。無意識に尋ねていた。顔が青ざめる。この返事がどうであれ、僕の恋とやらは成就しない。僕が1番わかっているはずなのに。聞いたら辛くなるのは僕なのに。

しかし返事は僕の予想とは大きく違うものだった。

『え？するわけないじゃん！憧れで恋愛って訳じゃないんだから！wというか私...』

その後の言葉はもごついていてよく聞こえなかった。でも今しかないと、僕は想いを声に出していた。

喜「A好き。食満先輩じゃなくて僕を見てよ」

Aの顔を引っ張ってみる。顔が真っ赤になっているのが僕からでも分かった。

喜「これからは僕が笑顔にするから」