【忍たま】作者の気まぐれ短編集 (ページ2)

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教科ページ2

なんでも1位であった滝夜叉丸に私はついに筆記試験で勝った。徹夜をして勉強したかいがあったというものだ。きっと滝夜叉丸は悔しがるだろう。つい口元がニヤついてしまう。いつもあんなに自慢しているのだ。一年は組に合わせる顔がなくなってしまうのでは？と心の中でニヤニヤしていた。
喜「Aなんかニヤニヤしてる。どうしたの？」
『ふふふ...少しいい事があっただけだよ。』
あの鈍感な喜八郎でもわかるレベルでニヤついていた私はその顔のまま部屋に戻ろうとした。
滝「あっ。」
前を見ると滝夜叉丸が立っていた。さあ、どう反応する？
『あ、滝夜叉丸じゃないか。どうだった。記述試験の結果は。』
笑いながら言う。相当悔しがるだろう。なんというのだろう。...と、最初はワクワクしていた。だが、哀しむのだろうか。プライドを傷付けてしまうのではないかという気持ちが溢れてきた。返事までの少しの間が怖く感じた。
滝「今回はダメだった。A、お前が1位だったらしいじゃないか。さすが私の同室だな。昨夜は頑張っていたからな！」
と、満面の笑みを浮かべてきた。その顔には悔しさや憎しみ、哀しみはなく。ただ純粋に褒めたいという気持ちが伝わってきた。なぜだか涙が溢れてきた。
滝「！？どうしたA。どこか悪いのか？」
あんなに悪意を込めて試験の結果を聞いてきた私にこんなにも優しく接してくれる滝夜叉丸に対して初めて感じる感情。苦しいけどふわふわする。
『ごめっ...滝っ...ごめんッ...』
伝えたい言葉が上手く出てこない。自分でも何が言いたいのかわからない。
滝「不正をした訳じゃないだろう。そんなに泣くな。私を超えたのだぞ？もっと誇るべきだ！」
そう言われて、いつもの滝夜叉丸だとわかり心のどこかで糸がプツリと切れた。
『...ふふ。滝夜叉丸に慰められるなんてな。さすがナンバーワンの滝夜叉丸先輩だな。そんなお前が私は好きだ。』
スっとでた言葉だった。深い意味はなかった。だが言ったあとからじわじわと湧いてくる恥ずかしさ。心臓が高鳴る。いや、でも滝夜叉丸にはそのようには伝わらないだろう。なんてったってあの滝夜叉丸だ。そう思い前を向く。
滝「っ！？はっ、ははは！そ、そうか！あっえ、あ、あ！！そう言えば一年は組に話そうと思っていたことがあったのだった！じゃ、また！」
そのままどこかへと走り去ってしまった。いつもと違う滝夜叉丸を見て私はまた『好き』と呟いてしまった。誰にも聞かれてないといいが。