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「…で、最後に俺が黒尾鉄朗。音駒のボスだ」
あの後音駒組の本拠地に連れてこられ、自己紹介をされた。
様はもうつけなくていいからな、と念押しされて。
それにしても、斜め前の山本さんが、悶えていて煩い。
「あのっ!ユキさんの本名はなんでいうんですか⁉」
リエーフさんにそう尋ねられた。
「…Aです」
「へぇ、Aちゃんか。上は?」
やっぱ聞かれるか。
マフィアだからね、警戒してる。
研磨…さんと言ったか、彼がパソコンをいじっているからおそらく私のことを調べているのだろう。
ハッカーか。
「…そちらのハッカーさんが調べているんじゃないんですか?」
「よく分かったね〜。やっぱお前何者?」
軽い調子で聞かれたけど、目の奥には殺気が篭っている。
「…ねぇ」
研磨さんが顔を上げてこちらを見た。
「君の個人情報、全く出てこないんだけど…。戸籍は?」
「ありませんよ。私一度死んでいますので」
その言葉に空気が固まる。
「ふぇ⁉幽霊⁉」
「うるせぇ、リエーフ‼」
そういうわけじゃないけど…。
「社会的に、ということです」
「詳しくは話してくれないんだ」
試すようにこちらを見る黒尾さんに嫌気が差した。
「生憎、私のことを信用していない人たちに全てを話すほど馬鹿じゃないんで」
「言うねぇ」
そう言うと、犬岡さんと芝山さんが身を乗り出して尋ねてきた。
「ところでAさんはおいくつなんですか?」
「年下?ですよね?」
貴方たちの年齢知らないんですけど。
「今年で19です」
そう言うとまたもや空気が固まった。
「「年上⁉」」
2人が同時に声を上げ、他のメンバーも驚いたようにこちらを見る。
「一個下か〜」
そう笑う夜久さん。
…そんなに私幼く見えますか。
「Aさん、小さいですね‼夜久さんより小さい人入ったの、初めてですよ!よかったですね、夜久さん‼」
その言葉に隣にいた夜久さんが固まったのが分かった。
…それって地雷じゃないんですか?
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ミックスジュース - めちゃめちゃいい作品を有り難う御座います!これからも楽しみにしてます! (2020年11月7日 21時) (レス) id: f935ff1209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朝夜花 | 作成日時:2020年10月31日 18時