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「コイツ昼間の…!」
「夜久知り合いか?」
2人の声が遠い。
あぁ、どうしてあの時彼を残して去ったのだろう。
何故気配に気づかなかったのだろう。
「…A?」
このままじゃ…
・・
また、あの時のように…
「A」
『お前らの選択が正しければ!
コイツはこんなことにならなかったかもしれないのになぁ!』
「…ッ‼」
失ってしまう。
「A!」
珍しく大きな研磨の声に我にかえる。
ハッとして顔を上げると研磨だけじゃない。
夜久さんと黒尾さんも心配そうにこちらを見ていた。
「…すみません、私が行ってきます」
そう言って立ち上がると夜久さんに腕を掴まれる。
「1人で行く気か⁉危険すぎる!」
その言葉に研磨も頷く。
「…もう、私のせいで大切な人を失うのは嫌なんです」
小さな声で、でもはっきりとそう言った。
「…行ってこいよ」
「黒尾!」
「ただし、死ぬなよ」
真っ直ぐこちらを見る黒尾さんに頷いた。
夜久さんがじっと私の瞳を見る。
そして…
「…絶対無事で戻ってこいよ」
私の腕を離した。
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ミックスジュース - めちゃめちゃいい作品を有り難う御座います!これからも楽しみにしてます! (2020年11月7日 21時) (レス) id: f935ff1209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朝夜花 | 作成日時:2020年10月31日 18時