ダイエット奮闘記。【QK】 (ページ9)

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ダイエット奮闘記。9 ページ9

「Aちゃん、美味しい？」

ぽろぽろと涙をこぼしながら、私はオムライスを咀嚼しつつ必死に首を縦に振る。

『おいひい、です…っ』

大好きなごはんが胃に染み渡っていくのを感じながら、私は彼に心の中で大きな感謝を述べた。

今までダイエットをする中で、成果を出さなければ意味がないと思い必死に取り組んできた。
だって、ダイエットという誰を巻き込むでもない自己完結型のもので、自分が決めたことも実現できないなんて情けなさすぎる。

だが、現実は想像よりも厳しいことを知った。
思うように減らない体重、日々量を減らさなければならない食事。

ふと、あれ？自分は何のために痩せなきゃいけないんだっけ？と漠然と疑問に思うこともある。

ずっと苦しくて、でも自分が決めた手前やめることもできなくて。

そんな時に、大好きな彼からやめてもいい、そのままでいていいんだよ、なんて言われてしまえば。
私は彼の優しさに甘えることしかできなくなってしまう。

弱っちくて情けなくて、楽な方に逃げようとしてしまう自分が、心底嫌でたまらない。

私は矢継ぎ早にポテトを口へと運びながら、今までの甘い考えや中途半端な覚悟をすべて捨てることに決めた。

ずっと避けてきた運動もする。
もう嫌だなんて弱音は吐かない。

私は、彼のこの優しさに甘えちゃ駄目だ。

そう思いながら、ニコニコと笑いかけてくれる彼の顔を目に焼き付けた。

その笑顔だけで、私はもう何でもできる気さえしたから。

今まで欠けていた分を取り戻すかのように、私はその日目の前に並んでいたごはんをすべて平らげた。

ただ、それはダイエットの終わりを意味してるわけではない。
これが始まりだ。

そうして私のダイエットは、文字通り真価を発揮したのだった。