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「あーもう。そんなところにずっといられたらめっちゃ気になるんだけど」
恨みがましくそう言ったと思ったら、彼は唐突に席から立ち上がった。
「サッと終わらせるから。そしたらもう邪魔しないでね」
なかなかひどいことを言われているとは思ったが、彼が壁ドンをしてくれることに私は内心バンザイをするほど喜んでいた。
『勿論です!!』
2人で壁際の方へと移動し、私が壁に背を向ける。
あぁ、ついに。
高鳴る胸を手で押さえながら、彼を見上げた。
彼はゆっくりと私の顔の横、少し上のところに右手をつく。
私は身長が女性の平均身長よりは少し高く、162cmほどある。
確かふくらさんは175cm。
この身長差は大きい。
それ故に、今のような至近距離で彼を見上げるのは、やっぱりドキドキしてしまって。
ジッと彼の瞳を見つめると、彼もまた私を見つめていた。
2人の絡み合う視線に、まるで時が止まったかのような感覚に陥る。
それまで無言の彼だったが、ふとおもむろに口を開いて。
「まずい、Aちゃん相手なのにドキドキする」
このロマンチックな空気の中でさえそんなことを口にする彼に、一瞬にしてドキドキが吹き飛んでしまった。
『どういうことですか!?していいんですよ!??』
目を見開きながら慌ててツッコミを入れる私。
「はい、もういいでしょ」
私の大音量のツッコミを契機に、彼は私から離れて行こうとした。
『ダメです!まだ離れないでください〜!』
彼を引き止めようとして、私はその首に両腕を回し、ガッチリホールド。
「うわ!重!」
という何とも失礼なことを口走っていた彼だったが、それでもなお私は彼を離そうとはしなかった。
たまには私だって、あなたをドキドキさせたいんです。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年8月5日 12時