今日の二人【QK】 (ページ36)

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後日。

「そういえば、例の密着インタビューの件なんだけど」

ふとふくらさんから話しかけられ、私はビクリと身体を震わせながら彼の顔をゆっくりと見上げた。

ついに来てしまったか。

神妙な面持ちで彼の言葉に耳を傾けようとする私と、おそらくそれに聞き耳を立てているのだが聞いていないフリをしている他のメンバー。

すると、

「結局あのインタビューは鈴木光ちゃん特集に変わったらしいから、なかったことにしてほしいって先方から連絡があったよ」

という衝撃の結果に、私含めその場にいた全員がえぇ、と声を上げたのだった。

「あんなに受ける受けない散々騒いだのに、結局なくなったの！？」

とこうちゃんが大きな声で皆の総意を代弁してくれた。

私としてはずっと緊張していて不安に思っていたものがなくなり、結果としては良かったのかもしれなかったが。

全身を一気に脱力させながら、それでも自分宛の仕事がなくなってしまったことを少しだけ惜しんだ。

その中で、1人だけにっこりと笑顔を浮かべている人物が。

良かった良かったと独り言を呟きながら、嬉しそうな様子を隠せずにいるらしいCEO。

果たして本当に良かったのだろうかとぼんやり考えていると、

「キス損だな」

と須貝さんがぽつり。

鋭すぎるその指摘に苦笑いを浮かべるしかない私だったが、

「おいそんなこと言うなよ！」

と横から伊沢さんが声を荒げた。

それを尻目に、私はふと考え込む。

確かに須貝さんの言う通りかもしれないが、私としては伊沢さんを怒らせてしまった時の対処法と、その効果が分かったので結果オーライだ。
だが、そんなことを言ったら、皆には呆れられてしまうのだろうか。

まぁ怒らせないに越したことはないんだけどと、力無く笑っていると、

「どうしたの？」

と私の顔を覗き込んでくる彼。

『何でもないです』

きっと優しい彼は何があっても私に怒ることなんてないのだろうけど、それでもどうか私を見つめるあなたの瞳がいつも笑っていますように。