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「俺はマジでAちゃん以外の人に可愛いって感情を抱かないから。一般的に見たら可愛い部類に入るんだろうな、とかは思うけど」
淡々とそれを述べる彼に、私は驚愕のあまり言葉を失った。
彼の目にはどれほど私が絶世の美女に映っているのか、逆にとても気になる。
私がぽかんと口を開けていると、イライラした様子の彼がこう言った。
「Aちゃんのそういうところ本当にきら、」
そこまで言って、彼は自身の手で口を塞いだ。
だが、時すでに遅し。
もう彼の言いたいことは私に十分伝わった。
彼はやばい、という表情を浮かべながら額から冷や汗を流している。
私は俯きながら必死に堪えようとしたが、ついに涙はぼろぼろと溢れ出してしまった。
オロオロした彼が私に触れようとした瞬間、私は物凄い勢いでその手を払った。
そして。
『伊沢さんなんてもう知りません!!!』
と絶叫しながら、会議室へと立て籠もったのだった。
なぜ会議室なのかというと。
あそこがお風呂場とトイレ以外で唯一鍵がかかる空間だから。
ガチャリと手早く鍵を閉め、私は子どものように大きな声で泣き出した。
伊沢さんのばか。
嫌いなんて、私は嘘でも言えないのに。
それが彼の本心でないことは分かっていた。
ただ、どうしても彼の口から勢い余って飛び出してしまったその言葉が許せなくて。
グス、と鼻を啜りながら、私は心の中で彼への恨み言を延々と挙げ連ねる。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年8月5日 12時