今日の二人【QK】 (ページ1)

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全部暑さのせいだ。-izw ページ1

ついに長かった梅雨も開け、ようやく夏本番の到来。

茹だるような暑さに耐えながらオフィスへと向かい、クーラーの効いた室内で仕事をする。

この外との気温差こそ、いかにも夏だなぁという気がする。

ひと度窓を開ければ、たちまちムワッとした熱気が流れ込んできて。
思わず外出するのが憚られるような、そんなジメジメした蒸し暑さ。

夜になれば幾分涼しくはなるものの、日中はまさに灼熱地獄さえ言えるだろう。

と思っていたら。
この一日の内で最も気温が高くなる14〜15時という時間に、彼女が勢い良く席を立ち、

『コンビニへ行ってきます！』

と高らかに宣言。
その手には小さながま口が握られていて、彼女のおやつタイムのための買い出しであることを悟った。

だが。

「外、めっちゃ暑そうだよ。日差しも強いし、もう少し涼しくなってからの方が…」

俺は彼女が熱中症にでもなってしまったらと心配でたまらず、老婆心ながら思わず口を出してしまった。

『夏は暑くて当然ですよ！それに、アイスを買ってくるつもりなのでクールダウンもできます！』

ビシッと俺にピースを見せつけてくる無邪気な彼女。

いや、そのピュアさが逆に怖い…。

申し訳ないことに、俺は彼女の自己管理能力を信頼していないので、いくら説得されようにも許可することはできない。

ただ、頭ごなしに却下したところで、彼女が従わないことも分かっていた。

こうなったら折衷案だ。

「俺も行く」

そう言った瞬間、彼女は目を丸くしていた。

『えーと…伊沢さんもアイスですか？私買ってきますよ？』

なぜコンビニごときでついてくるのかと、彼女はまったく理解できないような表情を浮かべている。

そういう問題じゃないんだよとはさすがに言えないので、俺は無言で財布とスマホを左手に持った。

「はい、行こうか」

『え、伊沢さん！？』

彼女の手を取った俺は、足早にオフィスを後にする。

ドアを開けた瞬間、やはりこの世のものとは思えない暑さが押し寄せてきたが、この中を彼女一人で行かせるより何倍もマシだ。

息を吸えば熱気が肺に入ってくる。
それでも俺は、炎天下の中彼女を連れてコンビニへと向かったのだった。