腕相撲クイズ、私視点。 (ページ3)

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腕相撲クイズ、私視点。3 ページ3

「え！？待ってやめといた方がいいよ！？？」

慌てて止めに入るこうちゃん。

『大丈夫！こう見えて私、力あるから！』

どこから来るのか分からない自信に満ち溢れた私は、両手を頭上の棒に絡める。

あ、今日ワンピースを着てきて正解だったな。
危うくお腹が見えてしまうところだった。
なんて呑気なことを考えていると、

「…落ちないでね」

とハラハラしたような表情で伊沢さんが私を見つめていた。

その場にいる全員の心配の視線を浴びながら、私は床から足を離して腕の力だけで全体重を支え…ようとした。

しかし、一瞬にして“あ、これは無理だ”と悟った私は、すぐに手を棒から離してしまった。

落ちてもそこまで衝撃はないだろうと意味不明な楽観視をしながら、私は落ちた時の衝撃に備えようとした。

すると。

床に落ちる瞬間、想定していたものとは違う衝撃を感じ取った。

確かに落ちたと思ったのだが、床に着地したという感覚はない。

不思議に思いながら目を開けると、私はなぜか伊沢さんの胸の中にいた。

今何が起きたのかと目をぱちくりさせながら、瞬時に脳内で情報を整理してみると。

どうやら落ちる瞬間、彼が腕を伸ばして私を受け止めてくれたらしかった。

おかげで私は身体のどこかをぶつけたり着地をミスしたりすることなく、無傷なまま。

ぽかんと口を開けていると、彼は私を抱きかかえたまま

「ほら、だから言ったでしょ」

と言いながら、そうなることは最初から分かりきっていた、という顔をしていて。

あまり信用されていないことを不服には思ったのだが、まさに彼のおかげで無事でいられたのでぐうの音も出ない私。

「あービックリした…撮影前に救急車呼ばなきゃなからなくなるかと思った」

一連の流れを見ていたふくらさんが、伊沢さんに抱えられた私を見て安堵の息をついている。

『それはさすがに大げさです』

私が苦笑いを浮かべながらそう言うと、

「いや、この場にいる全員がスマホで119を押してるから」

とスマホ画面を見せてくれる河村さん。

そこには本当にその3つの数字が並んでいて。
驚きながら周りを見渡すと、皆の手にはスマホが握られていたのだった。

そんなに心配をかけてしまっていたのか、とここで私はようやく俯いて反省し始めた。

「まぁ近くに俺がいる限りAちゃんを怪我させることはないから」

未だ私を離そうとしてくれない彼が自信たっぷりにそう言ったが、誰一人としてその言葉に反応する人はいなかった。