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ガチャッとオフィスのドアを開け、作業部屋へ向かうと。
そこには彼が1人でいた。
いつもなら他に誰かしらいるのだが、今日に限って彼しかいなくて。
「あ、Aちゃん」
私を見てニコッと微笑む彼に、今まで我慢してきたものがすべて込み上げてきてしまった。
涙が出るわけではないのだが、なぜか彼のまっすぐな笑顔が見られなくて。
顔を両手で覆いながら黙り込む私に、彼は心配そうな声を上げ
「え、どうしたの？」
とこちらへとやって来てくれた。
私の背中を擦りながら、懸命に宥めようとしてくれている。
彼の優しさが身に沁みて、本当に涙が出そうになってしまった。
だが、ここで泣くのはせっかく先ほど告白をしてくれた彼に失礼だ。
私はゆっくりと顔を覆っていた手を離しながら、大好きな彼の方にチラリと視線を移した。
彼は眉毛を下げながら、その大きな瞳で私のことをジッと見つめている。
やっぱり私は、この人じゃなきゃ駄目だ。
それが一瞬にして頭に浮かび、思わず私は身体が動くままに彼に抱きついてしまった。
「え？え？」
彼は私を抱き止めてくれながらも、急な私の行動に戸惑っているようだった。
どうしたの、と優しく声をかけられるが、この気持ちを上手く言葉にすることができない。
そのうち彼は私の頭を優しく撫でてくれて、私を安心させようとしてくれた。
彼の優しさのおかげで、少しずつだが気持ちを整理することができた。
突然見知らぬ人(正確には知っていて当然の人だったが)に好意を伝えられて、戸惑っただけではない。
おそらく私は、今まで人に好意を向けられたことがなかったのに、それを無碍にしなきゃいけないことが悲しかった。
第三者がそこだけ聞けばふざけるなと腹を立てられそうではあったが、私には初めての出来事だったのだ。
だって、私もつい先日まで片想いをしていたのだから。
彼の気持ちは痛いほど分かる。
好きな人が自分のことを好きになってくれればと、毎日毎日祈り続ける日々。
そんな気持ちを、自分が他者にさせてしまったということが辛くて仕方なかった。
自分の感情が理解できたところで、私はぽつりぽつりと彼に事の詳細を語り始めた。
彼も驚いていたようだったが、黙って最後まで話を聞いてくれたのだった。
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Annie(プロフ) - QK Loveさん» コメントありがとうございます！お楽しみいただけたようで何よりです(*´ω｀*)もしよろしければ他の作品もお読みいただけましたら嬉しいです＊° (2020年8月29日 23時) (
レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
QK Love - ハツコメ失礼します。完結してからでなんですが、楽しく読まさせて頂いてました！文才とかその他諸々有りすぎて羨ましいです！！長文失礼しました。（すいません） (2020年8月29日 11時) (レス) id: 3f0e3f1478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Annie
| 作者ホームページ：https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時：2020年6月12日 20時
