笑わない君に、恋をして。 ページ1
2020年3月17日。
Youtuber･川上拓朗が卒業を表明した。
卒業動画はなく、Twitterでの報告のみとなった。
そのわずか2週間後、ウェブメディア「Quizknock」の新編集長への就任を発表。
それまで編集長を務めていた伊沢拓司は、編集長とCEOの兼任を終え、Quizknockの経営を中心にCEOの職務に専念することとなった。
ずっとQuizknockライターとして彼と関わってきた私は、2019年末で最後の撮影を終えた彼を側で見ていた。
皆が川上さんへ拍手を送っていた。
彼の表情は満足感に溢れていた。
私も泣きながら惜しみない拍手を彼に送った。
『もっと、川上さんの活躍するところを観たかったです…』
涙混じりの声でそれを伝えれば、彼は何も言わずにふっと笑うのだった。
それから東大の卒業者発表の日が訪れるまで、もしかしたら彼のYoutube卒業は夢だったのではないかと、毎朝目覚めるたびに思っていた。
だが、オフィスで撮影を手伝う際、毎回そこに彼の姿はなかった。
うっかり『今回の撮影は川上さんは不参加ですか？』とふくらさんに尋ねてしまいそうになるほどに、私は彼の卒業を信じることができなかった。
ライターになる前からずっと、一視聴者として彼の大ファンだった。
いつも誰よりも冷静で、一見クールそうなのに実は物凄く熱い人。
誰よりもクイズが、そしてQuizknockが大好きな人。
ライターになってから、そんな彼を近くで見てきて、あっという間に憧れは恋に変わった。
まるでそうなることがずっと前から決められていたかのように。
クールな彼が時折見せる笑顔が大好きで。
彼が記事を書いている時も、動画の編集をしている時も、いつも私は無意識に彼のことを見つめていた。
だが、彼が私に笑いかけてくれることは一度もなくて。
ふっと笑ったり、困ったように笑うことはあったが、彼の全開の笑顔が向けられたことはなかった。
あれこれと冗談を言ってみたり、皆とのおもしろエピソードを披露したりと色々試してみたが、どうしてもダメだった。
動画の中の彼だけが、私に笑いかけてくれた。
だから、そんな彼がYoutube出演を辞めるということを知ってから、私の中の時はずっと止まってしまったかのようだったのだ。
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Annie(プロフ) - 217さん» ありがとうございます！共感していただけて大変恐縮です…！お話も楽しんでいただけて本当に嬉しく思います。これからも少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします！ (2020年5月13日 12時) (
レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
217(プロフ) - いつもお話を拝読している者です。いつも楽しく読ませてもらっています…！今回のお話があまりにも自分の気持ちを代弁してくれていたので我慢できずにコメントを書いてます。どのお話もだいすきです。これからも応援しています…！ (2020年5月13日 0時) (レス) id: cc2f607952 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Annie
| 作者ホームページ：https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時：2020年5月12日 12時
