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笑わない君に、恋をして。7 ページ7

駅までの道のりを、川上さんと歩いている。

こんなことは後にも先にも今日だけだろうな、と考えながら、私は幸福感に身を委ねた。

ところが、その一瞬の幸福は彼の一言によって音を立てて崩れ去る。

「本当に、終わったんやなぁ…」

ぽつりと呟かれた、彼の本音。

それが安心感によるものなのか、寂しさから来るものなのかは残念ながら私には分からなかった。

また涙が込み上げてきそうになってしまった私は、なんとか平静を装い笑顔で彼に接する。

『Youtuberは、楽しかったですか?』

すると彼は、寂しそうに口元に笑みを浮かべた。

「うん。普通に生きてたら絶対に出来ない経験を、たくさんさせてもらった」

それを聞いた瞬間、私の必死に堪えていた涙はいとも容易くこぼれ落ちてしまった。
歩いていた足をぴたりと止めた私を不思議に思った彼が、こちらへと振り返る。

絶対、今日はもう泣かないって決めてたのに。

これで泣くのは何度目なのか、自分でも情けなく思っていると、

「また泣いてる」

と彼は眉を下げながら笑うのだった。

こうなってしまえば、もう色んな感情が涙と共に溢れ出てきて。

『辞めないでください…』

と心の中でずっと思っていたことを彼に言ってしまった。

彼は私の頭を、この前と同じようにくしゃりと撫でて

「元から俺は演者に向いてないって言うとったやろ」

と苦笑いを浮かべていた。
それだけは違うと、私は泣きながら彼に力強く反論する。

『そんなことないです!その証拠に、川上さんにはたくさんのファンの方がいらっしゃるじゃないですか!勿論、私もその一人です!』

全国の川上さんファンの皆さん。
私は皆さんの思いを彼に伝えてやりましたよ!

と胸をふんぞり返しながら、なぜか偉そうなことを思ってしまったことに申し訳なく思った。

だが、そんな言葉で彼の決意が揺らぐことはないことも分かっていた。

『川上さんが決められたことなら、私は何も言えません。でも、あなたはもっとご自分を誇らしく思われてください』

精一杯、つっかえながらその気持ちを彼に伝える。
その思いが少しでも届いたのか、彼は優しく「ありがとう」と呟くのだった。

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設定タグ:Quizknock , 川上拓朗 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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Annie(プロフ) - 217さん» ありがとうございます!共感していただけて大変恐縮です…!お話も楽しんでいただけて本当に嬉しく思います。これからも少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします! (2020年5月13日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
217(プロフ) - いつもお話を拝読している者です。いつも楽しく読ませてもらっています…!今回のお話があまりにも自分の気持ちを代弁してくれていたので我慢できずにコメントを書いてます。どのお話もだいすきです。これからも応援しています…! (2020年5月13日 0時) (レス) id: cc2f607952 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09  
作成日時:2020年5月12日 12時

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