【あんスタ】兄嫌いと兄者嫌い【男主】

Episode４２＋アオいハルと未来＋ ページ43

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「とりあえず、今日はお疲れさん。まあ、なんだ〜その……」

「はっきり言ったらどうですか!? 今後一切無断欠席は許しませんよ、と！ 貴方、担任でしょう？」

「まあまあ。その辺にしておこうぜ、あきやん。瀬名も〜……その反省してるみたいだしさ。……まあ、そういうことだ、...次からは気をつけろよ」



　遡ること５時間前――旧校舎で肩を叩かれた僕はものの見事に腰を抜かして、その何かに教室まで運ばれてしまったわけなんだけど……。いや〜、お化けじゃなくて本当に良かったぁ、と思う反面……お化けだったらどれだけ良かったか、とげんなりしている。それもこれも、アーニーに手配されたらしい椚先生のせいなわけだけど……。


「聞いてますか？ 瀬名君！」

『聞いてます……っ、すみませんでしたｯ』


　放課後になってすぐに呼び出された僕は、もう一時間くらいは正座し続けていて、足の感覚はおろか、内容も右から左にきき流れてしまっている。


「――いいですか?! 二度と、こんなことは無いようにしてくださいね！ 佐賀美先生もですよ！！」

「……へいへい」
『はぁい』

「返事は一回！ 短くきっぱりと！」

「はい」
『はい』


　ぷりぷりと怒っていた椚先生が、保健室からようやく退室して、僕らはやっと気が抜けた。
　疲れた、なんて言葉じゃ物足りないくらい疲弊した。数日分の怒りをまとめて放出されたようで、佐賀美先生もさすがに堪えたような表情で頭を掻いた。



「……瀬名」


　途端、佐賀美先生らしからぬ真剣な声が耳に届いて、思わず吐き出しかけたため息を呑み込んだ。


「俺が言った言葉覚えてるか？」


　何日か前に保健室にお世話になった時に、佐賀美先生が僕に伝えてくれた言葉のことだろう。もちろん、という意を込めて、大きく頷く。


「俺が言えることじゃないけど、……青春しろよ」


　予想の斜め上以上の言葉が、その唇から零れていく。脈絡を無視した単語に大きく目を見開いて、先生の様子を窺った。


「まあ、戯言だと思って聞き流してくれて構わないが……」


と、頬をかいてそっぽを向く先生。え……照れて？、と野暮なことを考えて、唇をきゅっと結んだ。



『……うん、僕もちゃんと青春するから』


　僕の言葉に、佐賀美先生は驚いたようにこちらを振り返って、何かを紡ぐように口をハクと動かしたけど、その言葉は空気には触れることはなく、そんな言葉を上からなぞるように、僕がかわりに再び口を開いた。そんな僕の頭に、佐賀美先生はそっと手を伸ばして、その髪を撫ぜた。




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