Episode15+バカ者+ ページ16
――――校舎1の2階、生徒会室。
校舎2から行くとすれば、校舎1に繋がる渡り廊下から右手に、突き当たったところにあり、
噴水や、正門から帰っていく生徒達の背中が見られる特等席は、今日も空席で。
桃色の髪、アホ毛をぴょこぴょこと揺らしながら書類に向き合っていた少年はうつらうつらと船を漕ぎ始めていた。
「はあ……、」
ふいに外を眺めていた紫髪の青年が、一点を見つめては溜息を吐き出した。
そんな青年に気が付いた緑髪の青年は、ブリッジを片手で押し上げ、ぎろりと鋭い視線を送った。
「どうした、衣更」
「いやぁ、何でもないです。ただ……、あんなところで寝たら風邪ひくのになぁって」
「……そうか、衣更。この資料、纏め終わったら帰ってもいいぞ」
「え、でも……」
「伏見がくるまで姫宮の面倒は俺が見ている。お前はあのバカを連れて帰れ」
「バカって……。...はい、ではお言葉に甘えて」
再び外の景色と、木陰で俯せに眠りこけている男子生徒の姿をみて、はーっと息を吐く緑髪の青年。
そして、資料まとめが終わったようで、衣更は書類を青年に提出し、お先します、と出ていった。
生徒会室から出てきた衣更はまっすぐに木陰へと向かっていった。
くーくーと静かに寝息を立てる男子生徒にだんだんと黒い影が近づいていく。
四月も下旬。五月に向けて、いくら温かい陽気が射していようとも、風邪をひく時は引くものだ。
だからこそ、ジャージなんて薄いもので、しかも木陰で寝転んでいたら、さすがに風邪をひくだろうに……。
「あれ、凛月……じゃない?」
生徒会室の窓から見た時は確かに幼馴染の凛月の姿のように見えたのだが...。
衣更は首を傾げては、あれ?とつぶやいた。じゃあ、凛月はどこに?と思うと同時に、スマホを取り出し、凛月という幼馴染に連絡をとった。すると、10分も経たないうちに返答が届いた。
教室にいるよ〜〜、と間延びした声が聞こえてきそうな返答に、ふふっと笑みを零す衣更。
じゃあ、迎えにいくか……と踵を返そうとしたが、目の前に転がる男子生徒を起こさずに帰るのはいささか、心にくるものがある……と。
面倒事だけは勘弁してくれ、と腹の裡でぼやきながら、寝転ぶ目の前の男子生徒の肩を揺らした。
衣更は、なかなか起きそうで起きない男子生徒に、むしろすげーな、と心の中で感心とため息を吐きながらも賢明に声を掛け続けた。
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若宮(スイス/シャラルー☆)(プロフ) - Seturoさん» 入力前の状態ですと、デフォルトで『なまえ』という表記になってしまいます。『カタカナで』の欄も同様です。今一度、ご確認の方よろしくお願いいたします。入力してもなお、『なまえ』という表記のままであった場合には、またコメントを頂ければ助かります。 (2022年10月25日 19時) (レス) id: 6137a49408 (このIDを非表示/違反報告)
若宮(スイス/シャラルー☆)(プロフ) - Seturoさん» こんばんは。コメントありがとうございます。単刀直入にお話しますね。『なまえ』という文字から変わっていないとのことですが、全Episodeの一番下〜評価のすぐ上の『ひらがなで』という欄の入力はお済みでしょうか? (2022年10月25日 19時) (レス) id: 6137a49408 (このIDを非表示/違反報告)
Seturo - すいません💦多分主人公の名前が入るところが、なまえって文字から変わってないです💦 (2022年10月25日 17時) (レス) @page40 id: c7673ae0d0 (このIDを非表示/違反報告)
乱数(プロフ) - んん……身長は、165~168cmとかがいいんじゃないかなぁ…と思いますね……無理に変えなくていいですよ!? (2020年12月24日 4時) (レス) id: a4b666bcbc (このIDを非表示/違反報告)
シャラルー☆(スイス)(プロフ) - 乱数さん» コメントありがとうございます。あんスタの中では全体からしたら中間的身長ですし、アンデの中ではちびっこなので……(汗)設定的にはちょっぴり高くできたかな…?程度なんですよね。でもまあ、私的にも170cmは高いのでは?なぁんて思っちゃってます笑 (2020年12月16日 22時) (レス) id: 705dc09b7e (このIDを非表示/違反報告)
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