6.月の記憶 -願いの丘・夜〜月の世界- ページ7
とうとう頂上まで来た頃には
あたりはすっかり暮れていた。
屋根もなく、取り残されたかのように扉の枠だけが残っているだけの頂上だが、
月がやけに輝いているように感じる。
「これ！絶対何かある！」
Aは興奮気味に意気込むのとは裏腹に、
「はいはい、登るの頑張ったもんねえ」
と登山の達成感に近い感情しか抱かないククール。
1人じゃ夜の丘なんて怖くて来れないけど、みんなといると不思議と落ち着くな。
道中たくさん戦った疲労感もまた心地いい。
軽口も気にせずAはそんなことを思っているうちに、
月に照らされた扉の影がみるみる伸びていく。
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いつの間にか、月の世界に踏み入れていた。
「なんだか絵本の世界みたい·····」
Aとゼシカは見たことの無い幻想的な世界に溜息を漏らす。
イシュマウリと名乗る、
月の世界に似つかわしい美しい男性が、
パヴァン王の懐かしい記憶を取り戻してくれるという。
ヤンガスが“ヘチマ売り”
と名前を間違っていることにヒヤヒヤしたが、
イシュマウリは柔和な笑みを浮かべて同行してくれることとなった。
月の世界から喪中のアスカンタ城に戻るのかぁ·····
もう少しこの世界を堪能したかったな。
Aはそんなことを思いながら、
いつも軽口を叩いているククールが静かだなと気づき、ククールの方を見る。
少し表情が暗いように見えた。
「ククール？」
Aは心配そうに覗き込むと、
ん？と我に返って、
なんでもないとばかりに少し微笑んで
Aをじっと見つめてから軽くデコピンする。
なんだかいなされたような気がして、
少し寂しい気持ちのままAは月を見ると、
ふとあの夜を思い出した。
そうか、オディロ院長が亡くなった時も満月だった。
私たちの目的がドルマゲスと一致していることが
今は喜ばしい。
目的を果たせば、
今みたいな寂しげなククールの気持ちも少し晴らせるかもしれないから。
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yuki(プロフ) - 雪娘さん» はじめまして！読んで頂いて、とても嬉しい感想まで送っていただき、本当にありがとうございます！！私自身、ゲームを再履修しつつ楽しみながらまったり更新していますが、まだまだ続く予定ですのでよろしければ楽しんでいってもらえれば幸いです。 (2022年7月1日 13時) (
レス) id: 83e0478cb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪娘(プロフ) - 初めまして。最近ドラクエにハマって、ククール好きかもと思っていたところに私好みの文章と夢主な作品だったので思わず感想送ってしまいました。続き楽しみにしてます。 (2022年7月1日 3時) (レス) id: 4b3493cea0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuki | 作成日時：2021年12月30日 23時
