37.仲間 -リーザスの塔- ページ42
「結界でゼシカの攻撃を防げても、ゼシカはどうすればいいんだろう」
呟くAの言葉に、皆少し押し黙る。
「事情はよくわからないけど、あのままだとゼシカはハワードさんを狙い続けると思う。だから多少手荒なことをしてでもボクは止めるよ」
静かな口調とは裏腹に決意のこもったエイトの眼差しを見て3人も頷く。
「さすが兄貴でげす！ゼシカをあのまま放っていくわけにはいかないでげすよ」
「私も同じ意見。
何が起こってるのかわからないけど·····あんなこと、きっとゼシカの本意じゃないと思う。きっと目が覚めて、その時にいろんな人を傷つけてしまっていたらゼシカ自身が悲しんじゃう。だから私もゼシカを止めたい。」
ゼシカを攻撃したくない思いで、Aの言葉は少し途切れ途切れになるものの、他の3人はそれを見守り、リブルアーチへ飛ぶルーラのために手を差し出し合い、繋ぐ。
「ボク達でゼシカを止めるよ。でもゼシカは、強いから。だからAはみんなの回復の要になって」
エイトが笑いかける。
Aはぐっと唇を噛み締める。
もちろん私は僧侶の役目を果たすことがいつもの作戦だけど、ゼシカに立ち向かう辛さを背負ってくれようとしているようにもとれる。
「私だけ後方なんて·····。できることはなんでもするつもりだよ。」
言葉と共に、Aの手を握りしめる力が強くなることにククールは気づく。
「ゼシカにも·····みんなにもできるだけ傷ついて欲しくない。」
Aが心からそう思って話していることが痛いほどククールに伝わる。
もちろん、エイトもヤンガスも同じ気持ちだろう。自分でさえ本当に仲間を心配していることにびっくりだ。修道院では私利私欲のためにしか動かない心底腐った連中ばかり見てきた。
自分で言うのもなんだが、オレが今のゼシカのようになってもこいつらはきっと同じように心配してくれるように思う。逆も然り、誰がそうなってもみんなで助けに行くだろう。
修道院にいたころとは大違いだな。
この気持ちに血の繋がりも、身分も関係ない。
繋いだ手をククールがぎゅっと握り返す。
「よしっ、オレも覚悟を決めたぜ。それにあのおっかねぇゼシカの方は手加減してくれないだろうから、こっちも本気で行かないとな。」
日の暮れかけた空の中、4人はリブルアーチへと戻った。
38.沈黙-リブルアーチ-→←36.賢者の血筋-リーザス像の塔-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuki(プロフ) - 雪娘さん» はじめまして！読んで頂いて、とても嬉しい感想まで送っていただき、本当にありがとうございます！！私自身、ゲームを再履修しつつ楽しみながらまったり更新していますが、まだまだ続く予定ですのでよろしければ楽しんでいってもらえれば幸いです。 (2022年7月1日 13時) (
レス) id: 83e0478cb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪娘(プロフ) - 初めまして。最近ドラクエにハマって、ククール好きかもと思っていたところに私好みの文章と夢主な作品だったので思わず感想送ってしまいました。続き楽しみにしてます。 (2022年7月1日 3時) (レス) id: 4b3493cea0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yuki | 作成日時：2021年12月30日 23時
