19.この生き方しか知らない-王家の山- ページ23
危険な場所は少なく、開けた道が続いていたこともあり、ククールは黙々と思案しながらただ歩いていると
「ククール、危ない!」
Aの声にハッとしたのもつかの間、大きなアルゴリザードが目の前にいる。
「何ボーッとしてんのよ!」
ゼシカが叫びながら炎でアルゴリザードを牽制する。
「おい、こいつを仕留めるぞ!」
大きなアルゴリザードを目の前に勢いづくチャゴス王子。
尤も、仕留めるのはエイト達なのだが。
みんな慣れたもんで、逃げないよう回り込みながら追い詰めてダメージを与えていく。
チャゴスも当たっているのかいないのか分からないが攻撃を仕掛けたので、
これで、王子が仕留めたと言えなくもないな
と思う程度には、エイト達の儀式遂行に対するハードルは下がっていた。
体格に似合う大きなアルゴンハートを落とし、チャゴスも満足したようだ。
それを見てククールは、仕事終わりが見えた安堵と、
酒場で引っ掛けたくなる欲に襲われる。
生き方なんてそうそう変わらないよな。
大きなアルゴンハートを前に、自分の事のように喜んでチャゴスを労うAをククールは見る。
カジノで大当たりした時の帰りの無邪気な笑顔を思い出し、やっぱり笑うと一段と可愛いなと思う。
オレと違って妹とも仲が良く、真面目なAとは
今まで到底違う生活を歩んできたし、これからもそうだろう。
旅の仲間としてこのメンバーは好きだ。柄にもなく情だって芽生えている。
ただ、きっと一緒にいてオレを知れば知るほどAはオレに失望してしまうだろう。
これまでのように、
自由に、自分のしたいようにこれからもオレは生きていくんだ。
家と呼べるところすらないような環境で育ってきて、
一人と大切に付き合うことを真剣に考えたことはなかった。
もちろん持て余すくらい女性から声はかかり、お互い退屈しのぎに楽しみはするが、それを察してか相手もいつのまにか別の男のところへ行っている。
そんなもんだ。
街に戻って一息ついたら、軽く飲んで美人をひっかけて過ごそう。誰かとずっと共にするなんて、やっぱり想像すらできない。
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yuki(プロフ) - 雪娘さん» はじめまして!読んで頂いて、とても嬉しい感想まで送っていただき、本当にありがとうございます!!私自身、ゲームを再履修しつつ楽しみながらまったり更新していますが、まだまだ続く予定ですのでよろしければ楽しんでいってもらえれば幸いです。 (2022年7月1日 13時) (レス) id: 83e0478cb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪娘(プロフ) - 初めまして。最近ドラクエにハマって、ククール好きかもと思っていたところに私好みの文章と夢主な作品だったので思わず感想送ってしまいました。続き楽しみにしてます。 (2022年7月1日 3時) (レス) id: 4b3493cea0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yuki | 作成日時:2021年12月30日 23時