15.儀式代行-王家の山- ページ19
「さっさと王家の山に行くぞ!お前たち」
ずんぐりしたチャゴス王子が私たちに指示する。
信じ難いことに、彼がミーティア姫の婚約者のようだ。
姫と似つかわしくない姿だけではない。
アルゴリザードが落とすアルゴンハートを持ってくるというサザンビークの王族の儀式を
トカゲが苦手だからという理由で何度も儀式の前に逃げており、
本来一人でいくはずの儀式をエイト達は秘密裏に手伝うこととなった。
その報酬が、太陽のカガミというわけだ。
ところでチャゴス王子は戦えるのだろうか?
あまり運動は得意ではなさそうだけど…。
チャゴス以外の全員が同じことを考えていた。
「やっぱりトカゲなんて大嫌いだ」
山の入口でぶつぶつ言いながら、
チャゴス王子はトカゲの匂いを自分に振り撒く。
アルゴリザードは臆病なこともあり、人間の匂いがするだけで逃げてしまうという。
「最低な匂いね」
「パルミドの野宿の奴らみたいな匂いがするでげす」
満場一致の悪臭を漂わせながら私たちは王家の山へ向かった。
---
私達は草場に身を隠している。
アルゴリザードはこちらに気付いていない。
「さすがに一太刀くらいは決めてこいよ?」
蹴っ飛ばすようにククールはチャゴスの背中を押して向かわせた。
「くそー!」半ばヤケクソでチャゴスはアルゴリザードに向かうが、すっ転んでしまいナイフを落としてしまう。
結局エイトのブーメランとククールの弓で仕留めた。
「ほらよ」
落ちたアルゴンハートをチャゴスに見せる。
「わあ!すごくきれい!」
ククールの手の中で真っ赤に輝く宝石のようなそれをみて、思わずAは言った。
「オレも適当に仕留めて何個か持って帰るか。美人を口説く時に役立ちそうだ」
ククールが飄々と言う。
とても王家の儀式とは思えない雰囲気だ。
さて帰るか、とエイト一同は帰り道に向かおうとするが
「こんな小さいのではお父さまを驚かせることはできないな。もっと大きなアルゴンハートをとるぞ!」
などとチャゴスが言っている。
「アルゴンハートの前にあんたがナイフ落としてたくせによく言うわよ」
ゼシカはじめ、文句を垂れながらも
チャゴスの気が済むように、一行はさらに大きなアルゴリザードを探しに行った。
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yuki(プロフ) - 雪娘さん» はじめまして!読んで頂いて、とても嬉しい感想まで送っていただき、本当にありがとうございます!!私自身、ゲームを再履修しつつ楽しみながらまったり更新していますが、まだまだ続く予定ですのでよろしければ楽しんでいってもらえれば幸いです。 (2022年7月1日 13時) (レス) id: 83e0478cb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪娘(プロフ) - 初めまして。最近ドラクエにハマって、ククール好きかもと思っていたところに私好みの文章と夢主な作品だったので思わず感想送ってしまいました。続き楽しみにしてます。 (2022年7月1日 3時) (レス) id: 4b3493cea0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yuki | 作成日時:2021年12月30日 23時