☆飼育当番と掃除当番 ページ18
「それでは本日、責任をもってお預かりしますっ！」
なにやらAがエイトにかしこまってそんなことを言っているのが聞こえた。
「何の契約中？」
ククールはひょいとエイトとAを覗き込む。
Aの手の上にはトーポがちょこんと乗っている。
「今日は一日トーポを預からせてもらうんだ！」
Aはにこにこして、自分のポケットへとトーポをそっと入れる。
「あ、ククールもお世話したい？」
自分だけじゃないかも、とはっとしたような様子でAは聞いてくる。
「ちげえよ」
「あ、ククールの服ポケット狭いもんね」
「そうじゃなくて」
何故かオレも世話をしたい前提でAは話している。
まあ楽しそうにしてるしいいか。
Aはトーポを初め、街の猫や馬、道中出会う牛なんかにもよく寄っては撫で、ひとりでに話しかけていたし、
カジノのホイミスライムのことも可愛いだの飼いたいだの言っていたので、生き物が好きなんだろう。
「ねえ、エイト。どのチーズが好きかな？」
「これとかおすすめ」
トーポに興味津々なAに、
普段は口数の少ないエイトもあれこれ優しく教えている。
「兄貴がネズミとAにつきっきりでがす·····」
「あの二人兄妹みたいよね。」
Aがせっせと袋の中から何かを探しているのをククールは横目で見ていた。
「王様。錬金釜使ってもいいですか？」
「ほいほい、使いなさい」
何やらチーズを作るようだ。
「釜出すの手伝うぜ」
「ククール、ありがとう！」
2人で馬車に入り、錬金釜を取り出す。テキパキと準備をするAを見ているといたずらをけしかけたい衝動が芽生えてくる。
「なあ、俺もなんか美味いもん食いたいなぁ」
真剣にレシピを見ていたAに背後から近づき、Aの肩と腰に手を回してククールが耳元で囁く。
「ひゃっ！」
驚いたAは錬金釜の蓋を落としてしまったのを弾みに、あらゆるものが落ち、転げ、馬車の中で大きな音が鳴り響き、みんなが駆けつけてきた。
「何があったんじゃ·····何も見えん！」
レンネットの粉が煙幕と化し、馬車内はしっちゃかめっちゃかだ。
「ククール！何してんのよ！」
「なんでAもいるのにオレ指名なんだよ！」
「どうせまたよからぬ事でもしたでげすよ」
「チーズの材料なくなっちゃった·····」
そう呟くAをみて、じゃあククールは1週間掃除当番だなあとエイトがこぼす。
一番おっかねえのはエイトかもな、
と考えながら1週間馬車を磨くククールだった。
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yuki(プロフ) - 雪娘さん» はじめまして！読んで頂いて、とても嬉しい感想まで送っていただき、本当にありがとうございます！！私自身、ゲームを再履修しつつ楽しみながらまったり更新していますが、まだまだ続く予定ですのでよろしければ楽しんでいってもらえれば幸いです。 (2022年7月1日 13時) (
レス) id: 83e0478cb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪娘(プロフ) - 初めまして。最近ドラクエにハマって、ククール好きかもと思っていたところに私好みの文章と夢主な作品だったので思わず感想送ってしまいました。続き楽しみにしてます。 (2022年7月1日 3時) (レス) id: 4b3493cea0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuki | 作成日時：2021年12月30日 23時
