☆変化 ページ11
普段の様子といい、カジノの帰りといい、そう言えば最近のAはよく笑うようになったなあと、ククールは思った。
「なあエイト。あいつ最近明るくなったよな。」
後ろの方でゼシカやトロデ王、Aは何の話だかで盛り上がっている。
「うーん。お城で働いている時からあんな感じだった気がするけど」
そうか、エイトは昔からAを知っているのか。一瞬、置いていかれたような気持ちになった。
「今日はこの辺で切り上げないですかい?兄貴ィ」
「そうしようか」
安全そうな場所も見えてきたので、みんなで野営の準備を始める。
------
「メシ食べたら眠くなってきたでがす」
大の字に寝転がるヤンガスを横目に、
「おいおい、牛になるぞ」
とククールがつっこむやいなや、Aもごろんと横になる。
「ねえ、星が綺麗だよ!」
「あら。沢山見えるわね」
ゼシカも横になり、ククールとエイトは顔を見合わせて、のそのそと仰向けになる。
視界いっぱいに夜の空と星が広がり、あたりはしんと静かで不思議な気持ちだ。
新月だからか、普段は見えないような小さな星があちこちで瞬いている。
「たまにはこうするのも悪くねぇな·····」
ククールは小さく呟いたが、静かな夜に他に音がすることも無く、全員に聞こえていた。
「ククールも丸くなったわよね」
「そうか?」
「前はドルマゲスを追うのに結構あくせくしてたわよ」
「それは私もちょっと思った」
Aもそうゼシカに同意して、
あ、もちろん敵討ちが大事なのは分かってるよ、と慌てて付け足し、ちょっと困ったように笑い、ククールはAの顔を見てふと思う。
Aがよく笑うようになったんじゃなくて、前よりもオレに笑いかけてくれるようになったのかもな。
修道院を出た後はとにかくオディロ院長の敵討ちが頭にあった。
近くにいるはずなのに辿り着けないもどかしさにイライラしていたように思う。
ただ、旅をしていくうちに
ドルマゲスは想像以上に強大で残忍で、焦って奴に向かうより、今のオレたちは力をつける必要があることも感じ始めていた。
今でもあの夜を時々思い出す。
大きな月の出ている日に目の前で院長が殺された夜が。
でもこの仲間たちとなら、きっと。
それに今日みたいに月のない日くらいは、穏やかにこの時を楽しんでもいいじゃないか。
星を見ながら、ヤンガスのいびきを聞きながら、
ククールはぼんやりと考えた。
9.いばらの呪い-トロデーン城-→←8.子供のような笑顔で-パルミド カジノ-
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuki(プロフ) - 雪娘さん» はじめまして!読んで頂いて、とても嬉しい感想まで送っていただき、本当にありがとうございます!!私自身、ゲームを再履修しつつ楽しみながらまったり更新していますが、まだまだ続く予定ですのでよろしければ楽しんでいってもらえれば幸いです。 (2022年7月1日 13時) (レス) id: 83e0478cb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪娘(プロフ) - 初めまして。最近ドラクエにハマって、ククール好きかもと思っていたところに私好みの文章と夢主な作品だったので思わず感想送ってしまいました。続き楽しみにしてます。 (2022年7月1日 3時) (レス) id: 4b3493cea0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:yuki | 作成日時:2021年12月30日 23時