きみがいるから仕方ない。 (ページ25)

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ジェスが言うには　1 ページ25

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動画を撮影している時だった。
小さいフレームに大男6人収まるために、俺らはぎゅうっと固まって、ファンのみんなに笑顔を見せる。

「あけおめ一発目じゃない？これ」
「ほんと、やるしかない」
「はい、じゃみんな、よろしくお願いします」

みんなが自由に喋る中、樹の言葉に合わせてよろしく～、て手を振ったそのとき

「アイテッ！」

ジェスの本気の声がして左目を押さえるから、びっくりして咄嗟に言葉も出なくなる。

その側から、何故か大我が
あー、ごめんな
て謝った。

なんでお前が？？て大我と笑い合ったけど、

目を押さえたままのジェス。
冗談も言わない。
大丈夫かな…。

最後もスマホに向かって笑って手は振ったけど、本当そればかりが気になっていた。

けど、
「はい、動画オッケー！俺シャワーいちば～ん！」

賑やかなみんなの声の中、
「ジェス、大丈夫…？」
覗きこむように顔を近づけたら、ふい、と正面を避けられる。

その一瞬で、近寄りがたい雰囲気を感じて、伸ばした手を引いてしまった。

たまにある。ジェスが俺に優しくないこと。
そんな時はじわじわと、心が暗く重くなっていって、
ネガティブな俺が顔を出す。

余程目が痛むのか。
それとも、すぐにちゃんと謝れなかったことを怒っているのか。
ジェスの目も気になるし、避けられてしまったことも気になる…。

「いいからお前はさっさとシャワーに入れよ！」

裸のまま無駄にカッコつけた樹のボケと北斗のツッコミに笑ってみたけど、胸の奥は重いまま。

北斗越しのたジェスも笑っていたけれど、俺の方を見たと思ったら、またすぐに視線を逸らした。

…！
やべ、ツンときた。ライブ終わりだから涙腺も緩い。
泣かないぞ、と力を込める。

こちらに向けたおっきな背中が目に入る。
ジェス。俺を避けないでよ…

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