もういいじゃん。3 ● blue視点 ページ14
次の日。
おれね、最近遅刻魔は返上して、スタッフよりも早く現場に着いちゃうの。
だれもいない控室、椅子に座ってLINEチェックをしてると、のそ〜〜とした人影が入ってきた。
「・・・ハヨーゴザイマーース」
ちっさい掠れた挨拶。
あれ？コーチだけ？
と思ったら、すぐ後ろに黒ずくめ陽気なオーラの大男。
「オハヨ、じゅりー。最近まじで早いじゃん」
朝のわりに元気な(いつもだ)ジェスとは対照的に、コーチはぐったりして見える。
ま、こっちもいつも通りといえばいつも通りなんだけど。
いや、いつもよりも疲れてるかな？
フンフフ〜ンフンフ〜ン♪
鼻歌なんか歌いながら、飲みもん買ってくる〜ってジェスが出てって、コーチと２人きりになった。
いたずら心で、カバンを枕に沈没してるコーチをからかってみる。
「昨日、お風呂いっしょに入ったげたの？」
「・・・入るか、ぶあーーか。忘れろ」
ドスのきいた掠れた答えが返ってくる。
おっもしれえ。
調子にのって、もうひと押しする。
「ずいぶん疲れてんじゃん。夜あんまり休めなかった？」
「・・・・・・チッ・・・」
ウザそーーにこっちをチラ見して、舌打ちまでしやがった。
なんだけどさあ。
なに、その顔。目尻と耳がもう真っ赤。
やばいじゃん。
「かーわい」
・・・いけね、心の声が出た。普段思ったことなんてないけど。
目線をはずして照れるとことか、けっこうツボ・・・なんてニヤニヤしてたら、
背中からヘンな空気を感じた。
「いま、かわいいって言った？」
サングラスの奥の目がなんかキラキラしてます。ジェシーさん。てか何で？
「うるせー、言ってねえから！樹が俺に言うわけないじゃん！」
めちゃくちゃ必死に遮ってくるコーチ。
「ねえねえ、２人で何の話してたの？」
「何の話もしてないわ！」
「うそーー」
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作者名：an | 作成日時：2019年6月28日 20時
