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#132_Bandage / side_H ページ4

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「痛っ、指切った！」

「絆創膏あるよ」




そう言うと、洋平が手持ちのクラッチバッグから
絆創膏を取り出した。




大して荷物の入らないクラッチに
絆創膏を常備していることに驚いたけど、


こちらとしては貰う方の身なので
そこは何も言わずにおいた。




「おー、助かる。ありがとう」




レコーディング中、
譜面を確認したいと思って手を伸ばしたら
紙の端で切ってしまった。




こういう鋭い切り傷って、
後からズキズキしてきて痛いんだよなー。




そんなことを思っていると血が滲んできたので、
急いで外側の袋を剥がす。




「・・・ねえ洋平、これなんか小さいんだけど」

「人から貰っといて文句言う？笑」

「いや、ほら、だって、
服で例えたらつんつるてんって感じだよ？」




絆創膏を巻き付けた指を見せる。




まあ傷口はちゃんと隠せたから、
問題ないっちゃないんだけど


袋から出した時、
なんとなく違和感を感じたんだよね。




そうだよ。
いつも使ってるサイズよりなんか短いんだ。




「ああ、そっか。
それ、Aちゃん用だから小さいんだ」

「Aちゃん用って、なに！？
彼女の為に持ち歩いてんの？」




そんな洋平にびっくりなんだけど、




「うるさいな！
Aちゃん、よく指から血ぃ出すんだよ」

「え？よく血を出すってどういう状況でそうなんの！？」




そっちにもびっくりだ。




「冬になると手荒れで指にささくれがいっぱい出来んの。
弄るなって言ってるんだけど気になるらしくて
爪で引っ張っちゃうんだよ」

「あー、それで血が出るんだ？」

「そ、だから持ち歩くようになっちゃったの」




ああ、良かった。




よく血を出すって言うから、
よっぽど鈍くさいとか注意力が足りないとか、
それでなければ血を見るのが大好きな猟奇的な彼女！？
とか思っちゃった。




それ、もうホラーだよね？
俺、ホラーは苦手なんだよ！




「にしても小さいよ」

「しょうがないじゃん。Aちゃんの手、小さいんだもん。
普通サイズだとテープの部分が傷口覆っちゃうんだよ」

「ああ、なるほど」

「・・・なに、にやにやしてんの？」




それでわざわざ小さい絆創膏用意してんだ。




「いやー、愛しちゃってんだなあと思ってさ笑」

「ははっ、まあ俺もね、絆創膏を持ち歩くような男になるとは思いもしませんでしたよ」




そんな風に言いながらも、ギターを片手に笑う洋平の横顔は
なんだか幸せそうだった。





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