取引 ページ25
鶴丸さんは悪巧みをした様な怪しい笑みを浮かべた。
通常本丸にいる鶴丸さんとは別で、驚きを求めるような裏のない笑顔とは違う。
不気味でしかない。
『取引…？』
｢あぁそうさ。俺の要求は２つ。1つは、五虎退をこちらに返してもらう。もう１つは、ここから出ていくことだ。｣
指を2本立て前に掲げる。
『五虎退…？少年、君は五虎退と言うのか？』
｢はい！そうです！そういえば、名乗っていませんでしたね、すみません…｣
そうだった、まだ名乗っていなかった。
申し訳なさと、名前を呼んでもらえた嬉しさが混ざりあった。
『いや、いいさ。俺の方こそこんな形で知ってしまってすまないな。』
そんなことないと首を懸命に左右に降れば、大きな手が僕の頭を撫でてくれた。
いつものことながら、僕だけに向けてくれるその笑顔が今はとても嬉しい。
刀を腰にしまい、頭に置かれた手を両手で握って、そこから下ろした。
手は握ったまま、横に寄り添った。
多少驚いたように目を見開いていたが、直ぐにぎゅっとにぎり返してくれた。
『さて、取引ねぇ。まず一つ目だが、それは少年の…あぁ、五虎退だな。五虎退の自由だ。帰りたいときに帰している。それでいいだろう。そして二つ目だが、生憎ここから出られないものでね。此処がどこかも分からねぇし、帰れねぇんだよ。』
だから取引は出来ねぇと言い切れば、だんだんと歪んでいく鶴丸さんの顔。
｢君の都合なんて知らないな、要求が呑めないと言うのならば致し方ない。悪く思うなよ。｣
腰に戻した刀を再度抜こうとした。
そこで漸く刀に気づいた主様はわかりやすい程に顔を引き攣らせた。
『おいおい…何でそーなんだよ…話通じねぇ訳？』
少しずつ足を引いているのがわかる。
やっぱり普通の人間。
主様の時代では刀なんて持ち歩くこともないらしいし、刃物なんて向けられたことないんだろうな。
刀も僕が見せた時が初めてだと言っていた。
それでも僕を後ろにかくまったまま後退していくんだ。
自分の方が怖いのに僕にまで気を回してくれていて、彼の優しさと強さが伝わっていた。
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奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！出来たら全員のキャラに愛されたいです！（恋愛的に）あと落ちは出来れば全員落ちみたいなのが見てみたいです！無理せずに頑張ってくださいね！ (2022年12月13日 7時) (
レス) @page8 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - いずなさん» 返信遅くなりすみません、コメントありがとうございます。五虎退の口調の件ですが、具体的なご意見をいただければと思います。今作品の五虎退はしっかり者という感じで前田や平野等の口調を参考に作っています。変というのはこう言ったオリジナル設定の問題でしょうか。 (2018年2月19日 20時) (レス) id: c14942e9c6 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - 五虎退ちゃん口調が、へんです…,はやめのかいぜんを。 (2018年2月15日 19時) (レス) id: cab3b979f4 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 冬歌@病弱堕天使系審神者さん» 返信ともに遅くなって申し訳ございません。完全なる誤字でございました。修正させていただきます、本当に申し訳ございませんでした。 (2017年3月15日 19時) (レス) id: 5d501a6648 (このIDを非表示/違反報告)
冬歌@病弱堕天使系審神者(プロフ) - 面白いのですが、一つ気になったので書かせていただきます。 「刀剣男子」ではなく「刀剣男士」です。そのように間違える方も多いのでしょうがないのかなとは思いますが、直していただけると嬉しいです。 (2017年3月13日 12時) (レス) id: 5ef9420f52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩香 | 作成日時：2016年7月15日 21時
