異世界リーンカーネーション！ ページ3
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結局あの後、訳も分からず爆睡した。
どうにかして忘れたかったのだ。
そうして今、目を覚ましたのだが、
………あれ、
｢なぁ、本当にどうするんだ｣
聞こえてきたのは、いつも通りの天井や音ではなく、コソコソと話す男の子の声。
誘拐でもされたのだろうか。
それならそれで、上手く姿を消す理由が出来たので文句はない。
｢さぁ？言われた通り保護したし、後は先輩たちが上手くやんだろ｣
保護…？
｢う〜ん…自分は毛布くらいかけてあげた方がいいと思うけど…｣
先程から誘拐とは真反対なワードが出てくるが、では一体どういう状況なのだ。
｢ふなぁ〜！そんなことより、オレ様腹が減ったんだゾ！｣
｢グリムうるさい。
…エース、デュース、もっと真剣に考えようよ｣
｢真剣に考えてないのはエースとグリムだけだ。僕はちゃんと…って、おい、｣
此奴、目、覚めてるぞ。
｢……え、マジ？先輩たち呼んだ方が良いんじゃね｣
｢自分、呼んでくる！グリム行くよ！｣
｢ふな！行くぞ子分！｣
｢声掛けたのは自分だけどね！｣
……………。
………え。
………なに？
状況が、掴めない。
さっきまで小説家気取りで自分の黒歴史を作っていたのに、ガラガラと崩れていく。
崩れた代わりに成り立っていくのは恐ろしい黒歴史なのだが。
｢動くなよ。何者か分からないお前と口は利けない｣
何者かと聞かれても。
でも、確かに天井とか壁とか、色々見覚えがない。
ここは自室ではないのか…？
ではどこだ。
レンガの壁に、何かの薬品が沢山しまってある棚。
綺麗な大きな窓に、ふかふかのベッド。
アルコールの匂いも少々鼻につく。
つまり、つまり、
保健室…？
｢エース、デュース、目を覚ましたというのは本当かい？｣
｢ローズハート寮長！たった今目を覚ましたところです！｣
｢そうかい。ご苦労だったね｣
…あぁ、なんだか少しわかってきた。
なんでここに居るかとか、ここがどこなのかとかは全然分からないけど、とりあえず誘拐では無さそうだ。
誘拐ならば私が目を覚ました際、こんなに見守るだろうか。それに柔らかな布団に清潔な環境なんて、処遇が豪華すぎる。
それがなんの根拠になるか分からないが、取り敢えず誘拐ではない気がする。
つまり、つまりだ。
｢へぇ〜、君可愛いじゃん。後で一緒に写メ撮ろ☆｣
｢…にしても、この子も全く分かってなさそうだぞ？｣
私は突然、ここに来た。
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作者名：ゆちゃまる(サブ) | 作成日時：2020年10月19日 1時
