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「本当かい?そりゃあ助かるよ」
「そうでしょうそうでしょう。私、優しいので」
「あぁ。それと、僕たちみんな無一文だけど良いかい?
ほら、職も失ってるし。敷金、礼金、前家賃、仲介手数料、火災保険料など多く見積って40万。用意するのは不可能に近いからさ。全て無償で使わせて頂きたい」
「あぁしかも、僕らはまだ未成年でねぇ…当然保護者も…」
こんなに喋りまくる太宰を見たのは何時ぶりだろうか。
さぞイライラしているのだろう。
「…と、突然何か怒りだしましたよ監督生くん。もしかしてこの方達関わってはいけない人達じゃ…っいた!今わざと足を踏みましたね?!…全くお行儀にかけていますよ!」
「…それで、今の条件で進めても良いかい?」
更にイライラしたのか、眉がぴくりと動いた。
「あ、あぁ失礼。そうですねぇ…職は此方で斡旋するとして、充分な収入と書類を得られた時、滞納しているとされる全ての費用を払って貰う、というのは?保護者や保証人は私が請け負いましょう」
オドオド汗を流しながらも、これでどうだ、と並べられる提案。
太宰の顔を見れば、最早嬉しそうである。
「本当かい?それは助かるよ。…じゃあ、扶養に入るってことで良いね?…あぁでも、見ず知らずの僕達に住む場所を与えましょう、なんて幾ら何でも…」
え、いや、決して監督生くんからの恩恵が欲しいだけとかじゃありませんよ?!と喚く学園長。
今のところ大して自分に利益は無いのに、監督生くんからの恩恵とは一体何なのだ。
「そうです!公務補などなさってみては?この学校、公務補がいないんですよねぇ。なのでその仕事をしているのは学園長であるこの私な訳で…」
「元から此処にいた奴らを雇えばいい…っんぐ、」
「ごめんなさい。続けてちょうだい」
ここで口を挟むと更に話が可笑しくなる。黙ってて中也。
「…納得して頂けました?」
「うん、こちらとしてはそれで構わないよ」
そうですかそうですか、やっと…と満足気な男は、いつの間にか太宰が主導権を握っていることに気づいていない。
なんて可笑しな学園長だ。
「では早速案内しましょう!にしても随分と要心深いんですねぇ」
職を失ったと言っていましたが、何をされていたんです?
と。
聞かれるだろうと思っていたこの質問。
まさか馬鹿正直に話す奴はいない。
「…探偵だよ」
こんな小さな子が…?と呟く学園長に3人揃って笑いを堪えていた。
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ゆちゃまる(サブ)(プロフ) - 紅さん» えええありがとうございます!そう言っていただけて、本当に活力になります…頑張ります! (6月21日 7時) (レス) id: d2edcaedd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (6月21日 7時) (レス) @page7 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆちゃまる(サブ) | 作成日時:2020年5月20日 18時