驚き。 ページ3
.
「へぇ〜。随分と若いお父さんだね?」
見た感じこのヒーローは20歳前後。
つまり麗人が4歳の時に私が爆誕したことになる。
若いなんてもんじゃない。
「ぎ、義理の父で…お母さんと年の差婚したんです…!」
私にしては中々の嘘だった。これは反論できないのでは。
そう思っていると男はこう言った。
「…飽きた。つまんねー」
あ、あきた…?
「そんな見え見えな嘘、つまんないに決まってんじゃん」
チャラ男は気まぐれな人が多いと聞いたが、これは気まぐれがすぎるのではないだろうか。
「待て。一応連絡先教えろ」
合コンのようだとは言わない。
「なぁに、小人くんが相手してくれんの?」
真っ当な判断のはずのヒーローの発言は、チャラ男の下衆な笑い声に掻き消されてしまった。
麗人はと言うと、ピキピキと怒りの表情を見せている。
そりゃそうだ。
「…あ?今何つった」
「怖いなぁ〜。つーわけでばいば〜い」
「あっ、おいコラ待て!逃げんな…っ!……チッ、」
ヒーローの呼び止める声を無視し、颯爽とチャラ男は逃げていった。
もしやこれもヒーローの作戦の一つだったのか?
ともあれ、これで一件落着だな。
しかしこんなふうに冷静ぶってる私でも、あの状況は相当怖かった。
「…あー、怖かった。ほんとに、ダメかと思った」
安心したせいか、段々と暖かいものが目から垂れてくる。
不意にこれまた暖かいものが頭の上に当たった。
ヒーローの手だった。
「ごめ、っ、」
「謝るこたねェよ。気が済むまで泣いていい。な?」
「、……っん、」
それが撫でるという行為だと気づくのにさほど時間はかからない。
やはりヒーローだからなのか、初対面でも安心できるよう、何かが備わっているのかもしれない。
涙が思った以上に止まらず、ヒーローすごい、なんて意味のわからないところでリスペクトしてしまう。
それからどのくらいの時間が経ったのか、気付けば男性の胸元が私の涙でべしょべしょに濡れていた。
抱きしめられていたことに今更気づく。
早急に冷静にならなければ。
「も、だいじょうぶです…」
「そうか?無理すンな」
歩けねェよな。とも声をかけられる。
大丈夫と首を横に振ると、突然足から地面の感覚が消えた。
「な、っ、、」
「家まで送る」
あぁ、良いのに。
「大丈夫ですよ…」と弱々しい声を発した私を他所に、男性はどこかも分からない目的地へと足を進める。
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←人物紹介
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆちゃまる(サブ) | 作成日時:2020年4月12日 22時