第八百七十六訓 ページ21
そのまま随分長い間走っていれば、木と木の隙間に黒い影が見えた。
「敵か！？」
『っ、待て！！』
群衆の様な沢山の影。黒い影。それは先程までずっと戦っていた奈落たちのものと同じ。けれど何か……様子がおかしい。
一本の大きな木を、いや…その丁度根元の所に誰かが居る？そしてその誰かを奈落達が囲って……何かしてる？
(……なんだ？何をそんなに集まって……？いや、奈落がこんなに集まるという事はそれだけの何かが…まさか、)
どうしてだろう、こういう時…嫌な予感が当たるのは。
目を凝らせば＿＿＿＿＿＿見えたのは、白い羽織り。
『………佐々木、くん…？』
見廻組局長、佐々木異三郎。
その彼が、奈落に囲まれながら血まみれで立っていた。今正に……奈落に討ち取られようとしているのだ。
と思えば。
＿＿＿＿＿＿ドシュッ、！！！
『っ、！』
元々ギリギリな状態で立ち尽くしていたのだろう、彼が背中から致死量と思われる程の大量の血を出して…そのままどさりと倒れてしまった。
＿＿＿＿＿完全に私達の時は、止まっていた。
どういう状況か呑み込めない。局長が目の前で倒れている。真選組だけじゃなく見廻組までも烏に潰される。
(待って、そういえば近藤さんは？近藤さんはどこ？佐々木くんまで狙われてるなら勿論近藤さんだっ、て……)
『……………あ……？』
目を、見開いた。
佐々木くんが倒れた、その先。
木にもたれ掛かる様にして力無く座り込むその人。父みたいな安心感を思わせる、優しく太い腕。ここ数日ずっと見れていなかった雄々しい顔立ち。
それは、額から頬にかけ一直線に延びた切り傷のせいで血に染まっていて……ぽたり、ぽたりと赤が落ちる。
(こ、近藤……さ…？)
奈落の錫杖で無理矢理顎をあげられ顔を確かめられた彼。近藤さん、近藤さんだ、間違いない。近藤さん。
え……なんで…？待って、なんで？
なんで目ェ、閉じてんの、？何で生気抜け落ちたみたいに無表情なの？貴方の笑顔が見たくて来たんだよ？
ねぇ、笑ってよ。よくここまで来てくれたな！お前達が居てくれて良かった！って…流石Aちゃんだっていつもみたいに笑ってよ、ねぇ。
(こんなの近藤さんが…死んだみたいじゃ、)
「真選組局長、近藤勲。見廻組局長、佐々木異三郎。相違ない……死んでいる」
＿＿＿＿＿何で、？
ー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
実珠(プロフ) - しきしまさん» わーー！！ありがたいお言葉……！有難う御座いますただいまですーー！お待たせして申し訳ない…🙇🏻♀️ ちまちまとではありますがこれから更新していくので楽しみに待って頂けたら幸いです！！！ (12月18日 21時) (
レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - あやさん» わわわ有難う御座います〜！！！待っていてくださったなんて！！光栄……！おまたせしてごめんなさい！、これから頑張っていきます！！ (12月18日 21時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
しきしま(プロフ) - おかえりなさい〜！！更新待ってました！これからも頑張ってください！ (12月18日 20時) (レス) @page44 id: b9707e3599 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 更新待ってました〜！！ おかえりなさい！ (12月18日 20時) (レス) @page44 id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
実真(プロフ) - 華さん» 発破かけて下さって本当にありがとうございますううう……！長らくお待たせしてしまい…申し訳ない🙇🏻♀️ これからはちまちま更新していく予定です……！ (12月18日 19時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：実珠
| 作成日時：2022年8月13日 0時
