第八百五十七訓 ページ2
なんで、なんでなんでなんでコイツが、コイツが母さんの名前を。
『どうしてっ、どうしてお前がっ!!』
気付けば恐怖は削げ落ちていた。恐怖を疑問と興味と少しの懐疑心が飛び越えて体を動かす。
「あぁ、やはり…君はあのいけ好かない男と屍の娘か。通りで面影がある筈だ…屍の愚鈍で莫迦な所を綺麗に引き継いでいる訳ですか」
『は、何、を……お前が、母さんの何を知って、』
「……少なくとも君よりは」
不気味な顔が、近付く。烏の嘴を型どった様な不気味な面頬が彼の得体の知れなさと怖さを醸し出していた。
でも、なぜ、だろう。怖い、怖いという体が震えるほどの恐怖の中に……どこか懐かしさを感じるのは。どうしてなのだろう。
『どうして…私を、助けた?』
「助けたつもりはありませんが……少し"煩い"のでね」
『っ?煩い……?何が…お前が殺した見廻組の隊士の声が、か?』
「まあそういう事にしておきましょうか」
どうして、だろう。一向にこいつの目的が見えない。どうして私を殺さない?奈落だろう?敵だろう?先程の隊士だけを殺した意味も分からない。
煩い?周りにはまだ沢山雄叫び等をあげている奴等がいるのに……その隊士だけが?
『っ!』
そのまま薄く呼吸をしていると、するりと頬に手を這わされた。びくっ!!と体がはねる。無論、得体の知れなさと不気味さによる恐怖で。
そのまま声を出すことも無く震えていれば、彼はそのまま私の怪我から溢れ出ていた血を指で拭い……
『っ、!?何、して、』
ぺろり、とそれを舐めた。
ただただ訳が分からずに瞠目することしか出来ず。
「………"混じって"は、ないか」
『っ…え?何、が、』
「念の為の確認だったが……君にまでは混ざっていない様で安心しましたよ」
…………本当に、意味が分からない。
今分かっているのは目の前のコイツは私の両親の事を知っていて、何らかの関わりがあるという事だけ。
血を舐めたり、混ざるだとか何とか言ったり、よく分からない。なのに何でこんなにも懐かしさも感じるのだろう。この感じ、私、どこかで。
「一時期屍が死んだのは私のせいだと信じて疑わない時もありましたが…今思えば愚劣だった。まあもう二度と戻る事はないでしょうが…」
『っ……』
"私のせいでもありますから"
不意に、あの人の声が頭の中で響いた気がした。
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実珠(プロフ) - しきしまさん» わーー!!ありがたいお言葉……!有難う御座いますただいまですーー!お待たせして申し訳ない…🙇🏻♀️ ちまちまとではありますがこれから更新していくので楽しみに待って頂けたら幸いです!!! (12月18日 21時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - あやさん» わわわ有難う御座います〜!!!待っていてくださったなんて!!光栄……!おまたせしてごめんなさい!、これから頑張っていきます!! (12月18日 21時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
しきしま(プロフ) - おかえりなさい〜!!更新待ってました!これからも頑張ってください! (12月18日 20時) (レス) @page44 id: b9707e3599 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 更新待ってました〜!! おかえりなさい! (12月18日 20時) (レス) @page44 id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
実真(プロフ) - 華さん» 発破かけて下さって本当にありがとうございますううう……!長らくお待たせしてしまい…申し訳ない🙇🏻♀️ これからはちまちま更新していく予定です……! (12月18日 19時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2022年8月13日 0時