第八百五十六訓 ページ1
さらり、と風に吹かれ散らばる様にして舞う亜麻色の美しい髪。先生のと、全く同じもの。
ただ血のようなどす黒い赤の瞳は先生とは違った。こんなにも、あの人と似ているのに。一瞬あの人が来たのではないかと錯覚してしまったのに。
『ぁ、なた、は……』
「……。」
そして、そしてどうしてだろう。
この目の前の人が＿＿＿＿とても、怖い。
(助けて、くれたのだろうか？だって明らかにこの人が剣を投げて見廻組の隊士を殺してたし、それで助けられたし……でも何故か、冷や汗が止まらない)
何だかこのまま私までを、殺してしまいそうな。
震えが止まらないんだ。怖い、怖い、怖い。かちゃかちゃと手が震えて、剣までをも震わせる。
顔を見ることが出来なくて思わず視線を下に下げれば、彼の着ている真っ黒な服が目に入った。まるで烏の翼を思わせる、黒い＿＿＿＿＿
(…………待て、待て待て待てこれ、志士でも真選組でもない、そしてこの格好…間違いなくこの人は、)
＿＿＿＿＿＿奈落。
(じゃあっ、じゃあ何故私を助けた？見殺しにしておけばいいものをどうして？敵だし邪魔だろう、なのにどうして、)
怖い、怖い、怖い怖い怖い。この人には、勝てない。何をしても、勝てない。そう本能が叫んでる。逃げろ逃げろと逃走本能が暴れ回る。
コイツは、死だ。生きた死。息をしている死。剣を持った、死。
恩人にあたるのであろう人にこのような事を言うのはどうか。そんなの分かってる。でも。
(怖い、怖い怖い怖い怖い怖い。駄目だ、押し潰されてしまう、駄目だ、勝てない、逃げたい、逃げたい逃げたい逃げたい逃げたいっ！！)
ぴくりとでも体を動かせば、そこにあるのは死。そう、言われている気がした。殺気と圧が、私を包んで仕方がなくて。
そのまま下を向いて震えていれば、前から衣擦れの音がして。
＿＿＿＿＿ガッ、
『っ！』
目の前の彼に顎を勢いよく掴まれて、顔を上げさせられた。自動的に交差する視線に感覚が麻痺して震えが止まる。
本当に死というものを経験すると、人間は震えすら出来なくなるのだと実感した。
『な、に、』
何とかして絞り出すように声を出せば、彼はすっと目を細めて。そうして放った言葉に、私は瞠目した。
「____屍の娘か」
カバネ。それは＿＿＿＿私の、母の名前。
ー
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実珠(プロフ) - しきしまさん» わーー！！ありがたいお言葉……！有難う御座いますただいまですーー！お待たせして申し訳ない…🙇🏻♀️ ちまちまとではありますがこれから更新していくので楽しみに待って頂けたら幸いです！！！ (12月18日 21時) (
レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - あやさん» わわわ有難う御座います〜！！！待っていてくださったなんて！！光栄……！おまたせしてごめんなさい！、これから頑張っていきます！！ (12月18日 21時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
しきしま(プロフ) - おかえりなさい〜！！更新待ってました！これからも頑張ってください！ (12月18日 20時) (レス) @page44 id: b9707e3599 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 更新待ってました〜！！ おかえりなさい！ (12月18日 20時) (レス) @page44 id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
実真(プロフ) - 華さん» 発破かけて下さって本当にありがとうございますううう……！長らくお待たせしてしまい…申し訳ない🙇🏻♀️ これからはちまちま更新していく予定です……！ (12月18日 19時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：実珠
| 作成日時：2022年8月13日 0時
