罪を侵して人を愛せず【鋼錬】 (ページ32)

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またね sideエドページ32

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エドside

暗号を解くために知り合っただけの人間。

特に興味も無かったし、解読が済めば終わる関係だったはずだ。

でも、暗号の内容は最悪の結末で

心優しい彼女は、俺たちのことを心配してたずねてきた。

拒否するタイミングはあったのに、何故か一緒に第5研究所に行っちまうし

危ない目にも合わせちまった。

もし、俺たちのせいで、コイツに何かあったら。

そう思うと、妙に落ち着かなくなるのは何でだ？

巻き込んだからには、守ってやんねーと。

そばに居ねーと、守れないから落ち着かないんだと思ってた。

病院の出入口にたどり着いた時、風が、Aの髪を吹き上げる。

その髪を指でなぞり、耳にかける仕草をじっと見つめてしまった。

身長は俺の方が少し高い位だが、風のせいで上目遣いになるA

こんなにも眩しく見えるのは、なんでだ？

もっと見ていたいと思うのは

触れてみたいと思うのは…

エド｢はあぁぁー…｣

違う、そうじゃない

元々珍しい髪色が、太陽の光に当てられて輝いてただけだ。

見ていたいと思ったのも、触りたいと思ったのも

錬金術師として、珍しいものは気になるってだけだ！

動揺しているAに紙とペンを要求して、師匠んちの電話番号を書き記す。

『それじゃあ、しばらく会えないけど、またね』

エド｢おう、気をつけて帰れよ。またな｣

またねと言われたのがなぜだかむず痒い思いがして

遠ざかる背中を最後まで見送らずに病院へと踵を返した。

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