罪を侵して人を愛せず【鋼錬】 (ページ30)

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国家錬金術師になるためにページ30

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アレックス｢して、Aはどうするのかね。｣

『え…？』

不意にアレックス様に声をかけられる。

どうやら、国家錬金術師になるのかどうかを問われているらしい。

『まだ、決められないです…。自分に務まるのかも定かではありませんから。』

アレックス｢だが、石について知ってしまったからには、危険が伴うぞ。

国家錬金術師となり、我らの傍に居てもらった方が我らも助けやすいのだが。｣

『…それも…そうですが…。』

本当に自分に務まるのかが不安で、今ここでやります、と言えないのが嘆かわしい。

私は何年も錬金術から離れてしまったから、国を背負い働いていく覚悟ができない。

エド｢なら、俺たちと一緒に来ればいいだろ。｣

私が決めかねていると、エドが私を真っ直ぐに見つめ、言った。

エド｢迷ってんなら、俺らと来て決めればいい。

錬金術の基礎だとか、色々教えてやれるし。

その間俺がお前を守ってやる。｣

それなら文句ねーだろ。とアレックス様に聞く姿を見て、アレックス様は私の身を案じていたのかほっとしたような表情を浮かべた。

『わかりました…。ただ、お屋敷でのお仕事の事もあるので、そちらをきちんとしてから合流させて貰えないでしょうか。』

エド｢あぁ、いいぜ。｣

『ありがとう、エド。』

守ってやると言ってくれたエドには、感謝しかない。

しばらくはエドに付き添いながら錬金術について学んでいくのだろうか？

私に国家錬金術師が務まるのか、しっかり考えようと思った。

そうと決まれば、早めに婦長さんにお話をしなければならない。

キャスリン様にもお伝えしなければならないし…やる事が沢山ある。

『それじゃあ、私はそろそろ行きますね。』

エド｢送ってく。｣

『え、いいよ大丈夫…』

エド｢いーから、ほら行くぞ｣

置いてくぞって、帰るのは私なのに。

先に行こうとするエドに私は急いで着いていった。

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