捕食者11 ページ13
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ジンは毎日やってきた。
それからだ。
ジンが私を恋人のように扱うようになったのは。
最初は戸惑いだった。
最初は散々無理やり噛み付くようなキスをしてきたくせに、次の日からは180度ガラリと変わったように優しくしてきた。
あんな氷のように残酷な男が、蕩けそうな目で私を見てくる。
ジン「優しくしてやる。悪魔のように甘くな…」
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それから重なった口づけからは変に甘い香りがした。飲んではいけないと頭で分かっていても、次から次へと重なる唇に思考が追いつけず、口を開いてしまう。
何か大事なモノを忘れてしまっていくような、そんな感覚。
思い出そうと頑張っても、ジンの言葉や口づけがそうさせてくれない。
それからジンに身体を預け、大したことの無い話を交わして、一日を過ごす。
『ジン。今日もお仕事?』
「ああ…いい子で待ってろよ?」
『…うん』
私の頬をさすって部屋を出ていくジン。
その後ろ姿は何かが違う。
何かしっくり来ないのだ。
私がいつも見ていた背中はもっと沢山の物を背負っていて...孤独で、手を差し伸べてあげたくなるような。
それに、香りが違う。
私はもっと包み込んでくれるような、でも苦い心の落ち着く香りを無意識に求めている。
ジンの胸にどれだけ顔を埋めても納得できる香りには出会えない。
違う人物なんだろう......と思う。
肝心なその人物が思い出せない。
でも、最近まあ、いっか...って思ってしまう。
それがダメだと私の体のどこかでサイレンが鳴るが、どうでもいいと諦めてしまう。
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今日もジンと特にたわいもない会話をしていた時、携帯の着信音が聞こえた。
私は携帯なんて持っていないからジンのだ。
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ジン「チッ......あの女狐」
着信の相手はベルモットのようで、私から腕を離すと軽く距離を取って電話をするジン。
声も小さくなんの内容かは分からない。
が、ジンの雰囲気が悪い事から良い知らせではないんだろう。
数分の電話が終わると、ジンは不機嫌MAXだ。
ジン「ったく...めんどくせぇ野郎だぜ...」
再び私の寝るベッドの端に腰を下ろすと、私の頬に手を伸ばし優しく撫でてくれる。
ジン「バーボンへの当てつけではない。テメェにそばにいて欲しいのは本心だ。」
『...?』
バーボン?誰??
私の不思議そうな顔に満足したのか、ふっとジンは笑う。
ジン「フン......まぁ、今のお前に言っても意味が無いことだがな...」
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そう言ってジンは部屋を出ていった。
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トロ丸くん(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く面白くて大好きです!ただ、理解者2から3にかけてがおかしくなっているので修正したほうがいいと思います。更新楽しみにしています! (2020年4月11日 9時) (レス) id: 1357d0851f (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです!番外編とかでもっとジンとの絡みが見たいなぁと思ってますw更新頑張ってください! (2020年4月10日 15時) (レス) id: 51ee7cd96d (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - 面白いです最新待ってます頑張ってください (2020年4月2日 0時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
斉藤さん - 続編おめでとうございます!待ってました!!今度はジンのターンですね( -ω- `)フッジン好きの私にはニヤけが止まりませんw (2020年3月20日 23時) (レス) id: 4ec1a4318b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:235711 | 作成日時:2020年3月15日 19時