審判…という名の閑話休題 5 ページ42
灯Side
しん、と一瞬周りの音が消えたように静かになった。誰かが息を呑む音がする。
「人殺し、だと?…何があったんじゃ」
一番に声をかけてくれたのはジョースターさんだった。あのことを伝えるのは今しか無い。
私は意を決した口を開いた。
『暗殺者、なんです。…私の本当の仕事は。でもあなた達のことを殺そうとはしていません』
「…分かっておる。暗殺者、というのは初耳じゃが、君が我々に害をなす存在ではないのは分かっておるよ」
あまりにも優しい態度に、思わず涙が出そうになる。
「お前は人を殺したことを自分で罪だと思ってるんだろ。…だったらお前は悪いやつじゃねえ、おれたちは責めやしねえよ」
「同感です。灯、きっとそれは君が望んでしたことではないのだろう?殺人は確かに罪だ、でも僕は君の優しさを信じる」
『あり、がとう…』
皆の言葉を聞いて、私の口からは自然と感謝の言葉がこぼれた。
『アヴドゥルさんも、占い、ありがとうございます』
「礼には及ばないよ。君が抱えていたものが軽くなったようで良かった」
*****
大分外が暗くなってきた。まだポルナレフが帰ってくる様子はない。
「…私が探してきます」
アヴドゥルさんはそう言って席を立った。
『ご一緒します』
万一にもアヴドゥルさんが負けることはないだろう。でも彼はまだ一応病み上がりだ。
「いや、構わない。私も久しぶりにポルナレフと話したいんだ」
…水入らずで話す機会もいるだろう。私はそう思い直し、彼を見送った。
*****
しばらくして、草むらからガサガサと音がした。見に行くと、そこには血まみれのポルナレフがいた。暗闇から出てきたので軽くホラーだ。
『ポルナレフ、今までどこに?というかその怪我はどうしたの』
「そんなんはどうでも良いんだよ!おい皆、驚くなよ?!誰に出会ったと思う!?」
ポルナレフは超ハイテンションだ。…これ、合わせてあげたほうが良いのだろうか。いやでもなんかやだな。
「アヴドゥルの野郎が生きてやがったんだよ!!」
後ろからドヤ顔のアヴドゥルさんが出てきた。楽しそうだ。
「じゃ、そろそろ行くか」
おっとスルーかい。他の皆も次々に海岸に向かって歩いていく。…ちょっとかわいそうでは?
『の、前にポルナレフ、傷治すからちょっとじっとしてて』
……私も大概かもしれない。
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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 柱の男の餌さん» 読んでくれる人が増えただけで号泣モンです…読んでくれてありがとうございます!最近スランプ気味なので更新遅いですがその一言でスランプを再起不能に出来た希ガス。頑張りますね! (12月9日 18時) (レス) id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
柱の男の餌 - うおぉぉ…!なんだか世界観に引き込まれるような気がして一気読みしてしまいました!(語彙力)更新楽しみにしています! (12月9日 17時) (レス) @page21 id: be6e33eff1 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - えお気に入り登録増えてる…!?ありがとうございます!! (11月25日 17時) (レス) id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:圧倒的睡眠不足 | 作成日時:2023年10月21日 14時