第五話 入学式 ページ6
入学試験を終えたばかりだが、目指すものがまたできた。
生徒会の話が終わり、彼らが
｢そこのあなた｣
ある女子生徒に声をかけられ、私はハッと顔を上げた。
よく手入れされたサラサラの緑色の髪のロングヘアーの女子が、口元に指を添えながら私を見下ろしている。黄色の瞳が印象的な美少女だ。後ろに女子の取り巻きが控えている。
｢黒髪のあなたよ。昨日、イラムール先生と一緒に学校へ来ていたのを見ましたわ。イラムール家の人間とお見受けするけど、わたくしと班を組みませんこと？｣
｢その前にあなたが誰なのか教えてくれるかしら？｣
澄まし顔で尋ね返すと、ご令嬢はピクリと眉を動かした。
すかさず取り巻きが前に出て「ベアトリス様を知らないなんて！」「失礼な田舎者だわ」などと私にブーイングを浴びせる。おっしゃる通りの田舎者です。
｢ゴホン。まあ良いでしょう。わたくしはベアトリス･アキル。皇宮魔術院の院長オルラーン･アキルはわたくしの祖父ですの｣
ああ、なるほどアキル家の人間か。皇宮魔術師を多く輩出している名門であり、現在の皇宮魔術院はアキル家に支配されていると聞く。
｢わたくしはアキル家の名にかけて、特待生となる義務があるのです。班員には名門かつ優秀な生徒を求めますわ。勿論、損はさせません。将来はこのアキル家が保証しましょう｣
要するに、自分を特待生にしてくれる生徒を集めているというわけね。
特待生の資質を兼ねた者と班を組めただけで好成績が見込めるわけだから、この女子についていく者もいそうだ。何と言っても、皇宮魔術院のコネが得られる。
｢あら、その金髪……あなた異国の生徒ね？｣
しかし、このベアトリスという令嬢、アリアを見て眉をひそめた。
｢異国の生徒はわたくし達とは魔力の性質が違い、役立たずになることが多いと聞きましたわ。よって、あなたはわたくしの班には必要ありませんわ｣
｢……ちょっと｣
彼女の言葉にカチンときて、私は立ち上がる。より良い班員を求める姿勢と行動の早さは認めるが、異国人というだけでアリアをいらないと言ったのが許せない。
この時点で、共に協力し合う班員になれる気はしなかった。
｢頼まれてもいないのに、いきなり班員にしてやるだの、いらないだの、勝手なこと言うのはどうかと思うわよ｣
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2019年12月19日 17時
