ユリアーレ転生物語 (ページ5)

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第五話入学式ページ5

｢皇宮の催しに招待されれば、あちこちの偉い人とも知り合いになれたり、卒業後にスカウトされたり、歴代では皇子殿下に見初められ妃(きさき)になった者もいるとか……｣
ここで女子達、黄色い声で「キャー」と叫ぶ。
ええいやかましい！
皇子なんてどうでもいいの。その特待制度についてもっと詳しくっ！
｢要するに皇宮に出入りする機会を数多く与えられ、様々なチャンスに恵まれるということだ。僕ら生徒会役員も夏の舞踏会にお呼ばれしていてね｣
｢ああ～｣
生徒会役員への羨望(せんぼう)の眼差(まなざ)しが強まる。私もまた、衝撃の制度に震えが止まらない。
わなわなと震える手を握りしめ、ニィ……と口角を上げた。
これだ。こんなところに、皇宮へ入るきっかけが転がっていたとは……っ。
｢先ほど会長がおっしゃったように、特待生になるには男女それぞれ年間を通した総合成績のトップになるのが条件です。ただしこれは、定期的に行われるテスト以外に、各授業の校外実習の評価点も大きく影響します。要するに、班員とのチームワークが必要になってきます｣
と、副会長らしき眼鏡の女子生徒が、キリッとした顔で自らのピンバッチを指差した。
｢班員？チームワーク？｣
誰もがその点に、首を傾げる。
｢実習は “班行動” がとても多い。班は四人以上六人以下で編成。男女を必ず混ぜないと無効となる。今日より約一ヶ月の間に君達自身で班を作りたまえ。学年主任のイラムール先生に申請し、許可されれば、晴れて班結成だ｣
生徒会長は、一年生が青ざめているのを満足げに見渡し、続けた。
｢とはいえ、班は早く決めればいいってものじゃない。誰がどんな力を持っていて、どんな性格をしているのかを知り、相性を考慮する必要がある。班活動の成果が低ければ、そのまま自分の成績に響くからね。ま、要するに、優秀な班員の奪い合いが始まるという訳だ｣
これは早くも、難しい課題を出されたようなものだ。
先生が決めるのでも、くじ引きで決めるのでもなく、班を生徒達に決めさせる。
まだ授業も始まってないのに、より良い班を作るためのスカウト合戦が、生徒間で繰り広げられるのだ。
｢一年生諸君。励みたまえ。誰が “タンザナイトの特待生” の称号を得るのか楽しみだよ｣
そして生徒会役員達は中央のステージから退いた。
一年生の戸惑いを、見守りながら。
｢特待生、か｣
特待生になり、皇宮に出入りすることができれば、リョウに会えるかもしれない。