ユリアーレ転生物語 (ページ33)

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第七話ノアのルームメイト捜しページ33

｢申請する時に班長も決めるのが決まりだ。俺はそんな役回り、お断りだからな｣
そして、イライジャは読書を再開した。私とアリアとノアは顔を見合わせる。
アリアとノア、二人揃ってイヤイヤと首を振る。
｢……仕方ないわね。わかった、私が班長よ｣

そのまま学校に戻り、私は班長として、イラムール先生の元へ班の申請をしに行った。
イラムール先生は自分のアトリエで小テストの採点途中だったけど、私が来たとわかるとデレデレして、とっておきの紅茶を淹れ始める。教師の威厳もあったものではない。
｢やあやあルキア嬢。そろそろ来ると思ってたよ。どうしたの？ホームシックになった？俺が恋しくなった？｣
｢そういう訳では全くないけど｣
自分で先生と呼べと言っておきながら、身内っぷり全開のこの態度。
｢あのね、私もやっと班員を揃えたから、申請しに来たの、班員はアリア･デイブライト。ノア･フランチェスカ。イライジャ･カリム。そして私よ｣
｢ほお。これまた個性的なメンバーを揃えたねえ。特に、イライジャ･カリムが君の班に入るとは思わなかった｣
｢……ねえ、イライジャって本当にただの引きこもり？【地】の申し子だし、なんだか根暗なふりをしているように思えるんだけど……先生は知ってる？｣
先生は採点する手を止め、こちらをチラリと見て、
｢俺はこれでも教師という仕事に、それなりに誇りを持っていてね。生徒のプライベートを語るほど愚かではないよ。……だけど君の考える通り、イライジャ･カリムは類い稀な才能の持ち主だ。家庭事情が複雑で、本人が目立ちたがらないだけで｣
……語ってるじゃん、とか思いつつ。
｢本気を出せば、魔術師として高みに行ける逸材だ。誰もあの子を引っ張り上げることができないけど、ルキア嬢ならあの根暗君をどうにかできるかもね｣
｢私？私にそんな才能、あったかしら｣
｢リョウ君を見つけ、この世界に引っ張り上げたのは君だよ。君には、誰も見つけられない宝物のようなものを、見つける力がある。……誰もが見捨てたものに、手を差し伸ばす勇気も｣
｢…………｣
ここで、リョウの名前が出てくるとは思わなかった。
私はティーカップを置き、揺れる紅茶を見つめながら、
｢ねえ先生、リョウは元気にしてるかな｣
｢ん？んー……そうだねえ。あっちも色々大変みたいだけど｣
｢大変って？｣
先生はまた「んー」と思わせ振りな反応をしつつ、まあいっかという感じで語り始めた。