第七話 ノアのルームメイト捜し ページ30
｢塩
乳白色の塩麹が山のように売られていた。ノアは「何に使うんだ」とこれまた妙な顔をしている。
｢ふふふ。これで味噌と醤油を作るのよ。大豆はあるし、塩も皇都産のがあるから、いける……っ、いけるわ！｣
｢……何のことだかわからないが、よかったな｣
ノアは当然のことながら、私がお米と塩麹でこんなに喜んでいる意味がわからないという顔をしているし、味噌と醤油もピンとこないみたい。
お米と塩麹で両手がいっぱいになったので、ノアが「持とう」と塩麹を持ってくれた。おお、意外と気が利く紳士ではないか……っ。
ちょうどオスカーがやって来て、ノアに何か伝えている。
｢おい、イライジャ･カリムはディール大聖堂の屋上にいるようだ｣
ディール大聖堂とは、皇都で最も大きなリシユル教の大聖堂で、西区画の広場にある。
ここでアリアと合流。大聖堂の大扉はちょうど開かれていて、ぞろぞろと司教服を纏った者達が出てきた。群がる群衆に混じって、その様子をアリアがじっと見ていた。
｢リシユル教国より巡礼でいらっしゃった偉い司教様だとか｣
｢へええ……｣
司教冠を被っている先頭の司教が、チラリとこちらを見た。
一瞬、司教冠から垂れるヴェール越しに、目が合った気がしたが……
｢ルキア、上へ行く階段があるみたいよ｣
｢あ、うん｣
アリアに呼ばれ、私達は大聖堂の真横にある階段を上って屋上に向かう。
屋上へ出るには多少の料金を支払うはめになったが……
｢うわあああ｣
ここは大聖堂の尖塔の彫像や、柱やアーチの彫刻を間近で見られる、良い場所だ。
レオルアン城や遠くの山々までよく見える。
屋上ではケレアレンの男子生徒が一人、備え付けのベンチに座って本を読んでいた。
｢お取り込み中のところ悪いけど、ちょっといいかしら｣
｢は？｣
耳栓まで着用し読書をしていたのは、まさにイライジャ･カリム。
私の影に反応し、耳栓を外して、本から顔を上げる。さっきはよく見えなかったけど、綺麗な
そして私達を一通り見て、
｢……何か用？｣
｢用というか、スカウトというか｣
｢何かよくわからないが断る。ていうか、君達ずっと俺を追いかけてただろ。しつこいから何度も
そう言ってまた本に目を戻すイライジャ･カリム。
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2019年12月19日 17時
