ユリアーレ転生物語 (ページ13)

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第六話使い魔召喚の儀ページ13

｢あーん、こんな “ハズレ” 使い魔じゃ、やってけないよ！｣
などと嘆いて、召喚したばかりの使い魔と契約しない子もいる。
だが使い魔召喚は滅多にできないことなので、基本はどの子も契約をする。使い魔を使役しているのといないのとでは、魔法の純度が変わってくるし、難易度が高い魔法であればあるほど、使い魔の力を借りる必要が出てくるからだ。
特に、使い魔の属性は重要で、今後自分が極めたい魔法や、個性に関わってくる。
｢ベア･ト･リス―――アキル(ヽヽヽ)の名の下に、顕現せよ我が使い魔！｣
勝手に呪文をいじって使い魔召喚に挑んだのは、あのベアトリス･アキルだった。
第一呪文もオンリーネームだし、自信満々という感じ。
しかしその自信の意味も納得せざるをえないほど、魔方陣は激しい光を放ち、今までとは違うバチバチとした紫電が迸(ほとばし)る。
やがて魔方陣の中央に、銀色の天馬が顕現した。
｢やりましたわ！シルバーの天馬(ペガサス)！｣
熱くなるベアトリスに対し、取り巻き達が泣きながら拍手を送っている。
そういえばアキル家の家紋には天馬が描かれていたっけ。
｢大変よくできました。上位使い魔の召喚に成功したようですね。属性は【空】です｣
｢ええ殿下！わたくしやりましたわ！アキル家の名に恥じぬ使い魔です！｣
殿下と呼ばれ僅(わず)かに笑顔を引きつらせたが、ユアン先生は変わらない口調で「よろしい」とだけ答えた。
｢では次に、ノア･フランチェスカ君｣
ざわついていた生徒達が、静かになった。
なぜならノア･フランチェスカは、私達一年生の首席で、誰もが期待しているからだ。
｢フランチェスカ君？｣
しかし彼は出てこない。というか、ここにいない。
｢彼のルームメイトは？｣
｢ルームメイトはイライジャ･カリム。彼もここにはいません｣
｢……なる、ほど。首席が最初の授業でサボりとは。しかもこの使い魔召喚の儀で｣
ユアン先生は顎に手を添え、苦笑した。
そんな前例はないのかもしれない。だけど確かに彼はここにはいなかった。
滅多にない機会を棒に振って、一体何を考えているの、ノア･フランチェスカ。
｢では最後に、ルキア･テネーブル嬢｣
｢は、はい！｣
自分の名前を呼ばれハッとした。そして誰もがそうしたように、魔方陣の中央に立つ。
同級生の誰もが注目していた。私がテネーブル家の跡取りとして、どれほどの使い魔を召喚するのか。
祖母は鷹、父は鷲、母は猫、従兄も猫。