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無理矢理加わる力に彼らが何をしようとしているのか分かり、全身が強張った。
『おい待て!やめろ!!』
『待ってくれ!!』
当然、どんな体勢になっているか見えている真選組にも、彼らが私に何をしようとしているか分かる訳で。副長や近藤さん、他の隊士達が必死に制止の声を上げる中。
「――こうなる」
ボキンッ……、と。嫌な音が、響いた。
「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
猿轡の所為で声にならない悲鳴と、とんでもない痛みで目の前がチカチカと明滅する。全身の血液がぐるぐると回り、脂汗が一気に吹き出した。画面の向こうで皆が怒鳴っていたが、正直痛すぎて何を言っているか聞き取れない。
雷獣でも、骨折は治るのに時間がかかるのにっ……!なんつーことしてくれてんだコイツら死ねマジで……!!
猿轡を必死に噛みしめながら、痛みを紛らす為に心の中で罵倒しまくる。そうでもしなければ、涙がでてしまいそうだった。
泣くもんか。こんな奴らの所為で、たかが腕を折られた位で。絶対泣いてなんかやるもんか。
そんな所まで、思い通りになんてなってたまるか……!!
必死で涙を堪えている私なぞ知らぬ顔で、リーダーの男は「部下を連れて出ればその人数だけ骨を折る」とか、「それでも諦めなければ殺す、午前0時までに来なくても殺す」とか、ふざけた要求を口にする。殺すつもりなんて、さらさらないくせに。
そこではたと気付いた。それさえ皆に伝えることが出来れば、脅しの効果は半減する。
更に怪我をさせられても私ならすぐ治ることを近藤さん達が皆に教えてくれれば、半減どころではない。ほぼ無意味だ。
――だったら、やることはひとつだけ。
『Aちゃん!?』
「なっ、大人しくしろ!」
「んんーっ!!」
思い切り暴れ出した私を、男が二人がかりで押さえにかかるがそれでも暴れる。正直言って、滅茶苦茶痛い。痛いが、それでも暴れて何とか無理矢理右腕をフリーにした私は、猿轡を素早く取った。
「こいつらに私は殺せません!こいつら、私を売って金を得るつもりだから!!怪我なんて気にしなくて良いから!!沖田隊長、あのこと皆に話し、ぐっ……!」
「黙れこの女!!」
思い切り頭を殴られ、ぐらりと意識が遠くなる。霞んでいく意識の中、今まで平静だったリーダーの男が苦々しい顔をしているのを見て少し胸がスッとした。
ざまぁみろ。中継なんて手段に頼るからだ、クソ男。
内心で思い切り馬鹿にして、私は意識を手放した。
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まるの(プロフ) - コメント失礼します!ここまで一気見してしまいました...!すごくおもしろかったです!更新楽しみに待ってます!! (9月12日 1時) (レス) @page18 id: 0f64c498bd (このIDを非表示/違反報告)
カニチャンチャカ(プロフ) - 続き楽しみです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ (2022年3月6日 14時) (レス) id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
bb - 更新待ってます! (2021年8月18日 23時) (レス) id: c3e9c2aa2f (このIDを非表示/違反報告)
神桜(プロフ) - はじめまして!とても面白い作品で3日でここまで一気に読んでしまいました…更新楽しみにしてます! (2021年7月22日 19時) (レス) id: 86ea1c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 待ってました!嬉しいです!! (2021年7月20日 22時) (レス) id: 859195a8cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年4月23日 11時