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「この、クソ男が……!!」
一気に目の前が真っ赤に染まった。煽られているのは分かったが、我慢がならない。
だが、罵りたくともあまりの怒りにロクに言葉が出ない上、殴り飛ばしてやりたくとも動けない。それが悔しくて悔しくて仕方がなかった。
視線だけで人が殺せたなら、今頃十回は殺してるのに。そんな事を考えながら全身全霊で睨み付けていると、作業をしていた志士の一人が声を上げた。
「準備できました」
「分かった。……出番だ、小娘」
ぐっ、と服の襟を掴まれ1m程床を引きずられた私は、ビデオカメラの前に投げ出された。淡い照明の下、まるで舞台に引きずり出されたような気分になる。
そして後ろから他の志士に無理矢理上体を起こさせられた挙げ句、
そう思ったが、その予想は少々外れた。ビデオカメラが接続されているパソコンの画面に、突然真選組の皆が映ったからだ。
『Aちゃん!!』
「!?」
一番前に近藤さんと副長、その後ろには沖田隊長を始めとする隊士達。場所は食堂だろうか。録画と思ったが、まさかの中継であるらしい。天人を嫌っているくせに、その彼らがもたらした技術を利用するとは、これ如何に。
「真選組の諸君、我々は『黎明党』だ。見ての通り、貴様らの大切な専属医師は我々が預かっている」
呆れると同時に捕まったことを恥じていると、男が喋り始めた。口を封じられていなければ邪魔してやるのに、と男を横目に睨み付けるが、男は何処吹く風だ。
「我々の要求は、真選組局長、副長の首だ。貴様らはこれより二人だけで指定した場所まで来い。地図は手紙に同封した。また、パトカーは使うな。歩いて来い」
『そんな要求をこっちが大人しく飲むとでも思ってんのか』
いつも以上に瞳孔が開き、恐ろしい顔になっている副長に男は臆した様子もなく、あくまで淡々と返す。
「貴様らは飲まざるを得ない。まず、貴様らの屯所は我らの仲間が見張っている。部下を連れて出れば――……」
「んぐ!?」
私の上体を無理矢理起こしていた男が突然、私をうつ伏せに地面に押さえつけた。「A!!」と私を呼んだのは、沖田隊長だろうか。
そこにもう一人が加わり、何故か私の手首を縛っていた縄を切って、私の左腕を不味い方向へねじり上げる。
……ヤバい。こいつら――。
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まるの(プロフ) - コメント失礼します!ここまで一気見してしまいました...!すごくおもしろかったです!更新楽しみに待ってます!! (9月12日 1時) (レス) @page18 id: 0f64c498bd (このIDを非表示/違反報告)
カニチャンチャカ(プロフ) - 続き楽しみです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ (2022年3月6日 14時) (レス) id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
bb - 更新待ってます! (2021年8月18日 23時) (レス) id: c3e9c2aa2f (このIDを非表示/違反報告)
神桜(プロフ) - はじめまして!とても面白い作品で3日でここまで一気に読んでしまいました…更新楽しみにしてます! (2021年7月22日 19時) (レス) id: 86ea1c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 待ってました!嬉しいです!! (2021年7月20日 22時) (レス) id: 859195a8cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年4月23日 11時