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――ゆらゆらと、どこかに運ばれている感覚がした。ぐるぐると頭の中が回っているようで、何だか気持ちが悪い。
私、どうしたんだっけ……?
微かに意識が覚醒したと同時、触覚と聴覚が脳へ情報を送り始めた。どうやら私はどこか硬い場所に倒れているらしい。そしてまだ意識がハッキリとしていない所為でよく聞こえないが、誰かが会話している。
何を、話しているんだろう……。
「――とにかく、やりすぎんじゃねぇぞ」
「分かっている。でなければ意味がないからな」
朦朧とする中、何とか会話を聞き取ろうと耳を澄ませると、そんな不穏なやり取りが耳に入り、私は一気に覚醒した。
そうだ、私……!
ハッと目を開けて
「ん、起きたか」
上から降ってきた少しざらついた声に視線を向けると、そこには二人の男が立っていた。一人は刀を佩いた男で、もう一人は洋装に近い服装をしている。
そして周囲には更に、何やら機械を相手に作業をしている複数の男達がいた。何だかビデオカメラを設置しているように見える。しかもレンズが向けられている先は、私だ。
何で、カメラなんか……。
「貴方達は……攘夷志士……?」
嫌な予感と不安が入り乱れ、冷や汗が滲んでくる。そんな私を温度のない目で見下ろしながら、
「そうだ」
と刀を佩いた男が答えた。
やっぱりそうか……。となると、東堂さんも……。
凍えそうなほど冷たい声を出した彼の事を思い出して唇を噛むと、もう一人の男が「おいおい」と声を上げる。
「俺をあんたらと一緒にすんなよ。俺はただの商売人だ」
「商売人……?」
「下っ端だけどな」
さらりとした返答に、嫌な予感が一気に膨れ上がる。元々予想はしていたそれが現実となるかのような。
そして男はそんな予感をあっさりと肯定してしまった。
「ま、分かってるだろーが、人身売買のな?なかなかどーして、上物じゃねェかお嬢ちゃん。混血とはいえ、こりゃ普通の雷獣並みに値がつきそうだなぁ」
「ッ……」
全身を舐め回すような視線に、ぞぞぞと鳥肌が立った。
ああ、どうしよう。本当にこれ、ヤバすぎる。
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まるの(プロフ) - コメント失礼します!ここまで一気見してしまいました...!すごくおもしろかったです!更新楽しみに待ってます!! (9月12日 1時) (レス) @page18 id: 0f64c498bd (このIDを非表示/違反報告)
カニチャンチャカ(プロフ) - 続き楽しみです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ (2022年3月6日 14時) (レス) id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
bb - 更新待ってます! (2021年8月18日 23時) (レス) id: c3e9c2aa2f (このIDを非表示/違反報告)
神桜(プロフ) - はじめまして!とても面白い作品で3日でここまで一気に読んでしまいました…更新楽しみにしてます! (2021年7月22日 19時) (レス) id: 86ea1c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 待ってました!嬉しいです!! (2021年7月20日 22時) (レス) id: 859195a8cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年4月23日 11時