真選組専属医師の悩み 4【沖田総悟】

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「……どうですか？隊長」

「……寝そう」

「でしょうね。そんな顔してます」


所変わって、私の部屋にて。隊長はうつ伏せの状態で、とろんと目を半目状態にしている。


レアすぎる……。ベビーフェイスのとろん顔。不覚にも可愛いと思っちゃったよ。


「全然痛くないでしょう？」

「ん……」


気持ちい、と緩みきったその声を録音して売ったら、一体どのくらい値段がつくんだろ。とか邪なことを考えながら鍼(はり)をまた一本隊長のたくましい背に刺した。


そう。沖田隊長が私にした命令は、「疲れたから鍼術(しんじゅつ)やって」というものである。


副長とか近藤さんとか、あと他の隊士にはやったことはあるのだが、沖田隊長にはやったことが無い。

やってほしいとか言われなかったし。


何でマッサージじゃなくてこっちにしたかは知らないけど、鍼術は体の状態を整えるし、ずっと同じ姿勢だった所為で血流も滞っているであろう今の彼の体には丁度いい。

それに私の得意分野を頼まれるのは悪い気はしない。……言わないけどね。


「にしても隊長随分と平然としてますね。他の人とか結構怖がりますよ？銀さんなんて、

『大丈夫？痛くしないでね俺マゾじゃないから本当大丈夫だよね、ね？』

とか、すごいビビってたのに」


もうちょっと体強張るかと思ってました、と言うと、隊長は呆れたような、ムッとしたような顔をする。


「俺をあんなマダオと一緒にすんじゃねェや。斬ったり斬られたりなんてしょっちゅうなのに、鍼怖がってどうすんでィ」

「そこまで割り切れる人って珍しいんじゃないですかね。だってほら、注射とかいつまでたっても怖がる人多いじゃないですか。痛みが来るのは分かってるのに防げないし。

平然としてても内心結構怖がってる人多いと思うんですけど」


プス、とまた一本刺しながら言うと、「土方さんとか案外ビビってそう」と隊長は呟く。


口には出さないけど、ご名答。平然を装おうとしてすっごい顔強張ってたし、すっごい冷や汗かいてた。

本人には禁句だけど、あの人滅茶苦茶銀さんと似てる。

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