119 ページ6
「………本当かィ？」
「……へ？」
低い声に、間抜けな声が出た。
「幾らでも付き合うんだな？」
念押ししてくる沖田隊長の謎の迫力に圧されながらも、さっき自分が言った言葉を思い返す。
あれ、勢いに任せて脳を通さずに喋っちゃったけど、私さっき何て言った……？
『SMとかそんなんじゃなかったら幾らでも付き合いますから本当!!!』
………。
――!!!??
「いやいやいや、待って!?やっぱ無しで、今の無しで!!!」
「じゃあ首輪付けてもいいのかィ」
「良くない!!良くないですけどちょっと待って間違えたんです!!」
「どうでもいいし今更遅ェよ」
必死になって何とか前言撤回しようとするも、沖田隊長はそれはそれは嬉しそうな笑顔でじりじりとにじり寄ってくる。
あぁあ何でんなアホなこと言ったの、何か状況悪化したんですけど数秒前の私の馬鹿ァァァアア!!!!
頭を抱え込みたい衝動に駆られながら尚も下がっていると、背中が壁にぶつかり退路を失ってしまう。
あ、これ詰んだ。
察した瞬間、ダンッと顔の横に手が置かれる。俗に言う壁ドンなのだが、あっれーおかしいな。萌えも何も感じないなうん。
全国の女性の皆さん、壁ドンって脅迫だったんですよ知ってましたか？(現実逃避)
「で？どうするんでィ雌豚」
爛々と目を光らせるそれはまさに肉食獣。いや悪鬼、邪鬼、修羅とかの方が良いかも知れない。
こんな奴が警察とか世の中終わったな、マジで。
悟りを開けそうな気分になりながら、「エート、デスネ。」と棒読みで声を出す。
このまま隊長に首輪付けられて、羞恥心MAX地獄でゴリゴリ精神削られるか。
SM以外で何でも付き合ってやって、やはり精神的・肉体的疲労を味わうか。
どっちもすごく嫌な選択肢ではあるけれど、マシな方は一つしかない。それに沖田隊長だって私がどっちを選ぶかなんてとっくに分かっているだろう。
がっくりと項垂れ、はぁ、と思い切り溜息を吐く。
「………SM以外なら、ですからね……」
「チッ」
「チじゃねェよ」
世にもおぞましいニタニタ顔から不満そうな顔に切り替わった隊長に再び溜息を吐く。
どうせ笑うんだったら、昨日みたいな笑顔の方がいいのになぁ。
ほわりと頭に浮かんだあの笑顔に、胸の奥が少し疼いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2397人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます！受験お疲れ様です(^o^)頑張ります！ (2019年2月17日 18時) (
レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです！受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです！！読んでて進展しててドキドキしました！これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます！(*´∀｀)頑張ります！ (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです！！！！更新頑張ってください！！ (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます！のろのろ更新ですが頑張ります！ (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霜夜華
| 作成日時：2018年1月8日 10時
