真選組専属医師の悩み 4【沖田総悟】

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次から次へと来るお妙さんの攻撃を必死に捌いて躱して、ようやっと噂の御仁が迎えに来た時、私は心の底から安堵した。そして同時に、心の底から危機感を覚えた。


隊長と一緒にいると安心する。

隊長をついつい目で追ってしまう。

馬鹿やらかしてドSな所を見ていると、呆れると同時に微笑ましく思ってしまう。

その他もろもろetc.


……やばい。これは非常にやばい。何が具体的にどうとかは言わないが、ひたすらに、これは、やばい。やばすぎる。


悟りを開いた仏かお地蔵様のような顔をしたまま(隊長からはツッコまれたがスルーした)、屯所に戻って部屋に入るなり、私は衝動的に壁に頭を打ち付けた。当然ながら痛かった。

壁に額をつけたまま、じんじんと痛む額から熱が引いていくのを無言で待つ。傍から見れば頭イってるやばい人だが、至って私は大真面目かつ正気である。平静かつ正常ではないけれども。

そうやって大分落ち着いた所でぶんぶんと頭を振って、前を見据えた。


「とりあえず、黒幕出現を、警戒」


それ以外を考える必要は無い。隊長からは未だ何の報告もないのだが、現在そのあたりはどうなっているのだろうか。

仮に両親を殺したあの人身売買の男が攘夷志士たちに情報を流したとして、問題は何故今になってなのか、だ。

こんなに経って今更、何故私を殺そうとするのだろう。それなら逃げ出したあの時死に物狂いで私を捕まえれば良かった筈だ。大体私は半分地球人の血が入った、いわばまがい物みたいなもの。価値だって半減しそうなものなのに、ここまでして手に入れる必要があるのだろうか。

ううん、分からん。これで実は全然違う人でした、という展開は正直お断りだ。これ以上私の秘密が知れ渡るのは本当に勘弁してほしい。


「志士たちに情報を流したのは、私が真選組にいるから下手に手を出せないからとか……あるいは、表だって動けないから、とか？」


分からないものは一旦置いておくとして、こんな回りくどい方法を敵がとった理由を考えてみる。……敵って、なんかやだな。改めて考えると。


「早く尻尾出すなりして捕まんないかな……」


命を狙われているというのは気疲れするし恐ろしい。そして傍迷惑なことに、仮に黒幕が捕まったとしても、それで脅威が消え去る訳でもない。多くの志士に私の秘密が知られてしまっている以上、これからも外出は控えざるを得なくなる。くそ、何てことしてくれたんだ黒幕の野郎。絶対許さん。性別を消してくれる。

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