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「それで、結局何が始まるんですか?」

「見てりゃ分かる」


隊長の隣に腰掛けて、彼の見る方向を見てみる。煌々と輝く江戸の街は、宇宙から見ればそこだけ星の海みたいなんだろうと、柄にも無くロマンチックなことを考えてしまった。


というか、こうして夜景を隊長と見るというのは……。非常に、落ち着かない。


耳に届くのは虫の音と遠くから響く太鼓の音と、隊長の息づかいで、それが何故だか私を焦らせた。何か喋ってこの空気を壊したいような、壊したくないような、よく分からない心地。そっと隊長の顔を盗み見れば、『目』のせいで無表情な横顔がよく見えた。何だかいつもより大人びて見えるのは……気のせい、なのだろうか。


「……」


思わず視線を逸らして、ほんの少し跳ねた心臓を落ち着かせようと試みる。くそ、何だってこんな格好良く見えるんだ。どうした私、相手はドSクソサド王子だぞ。しっかりしろ。


そんな風に悪戦苦闘している時だった。ひゅるるる、という独特な音が耳に届いたのは。


「始まったぜィ」


いつも通りのかったるい調子の声と、ドンッ!と腹の底に響くような音と、視界に光が散ったのは同時だった。え、と声を漏らす暇も無く次々とあのひゅるるるという音がして、夜空に大きな光の花が咲いては粉となって消えて行く。

それが一体何なのか、数泊置いて理解した私は限界まで目を見開いた。


「は……花火!?え、あれ花火ですよね!?」

「どう見てもそ『うわぁあぁ!すごい、初めて生で見た!隊長すごいですよ!』……」


ガキかィ、と呆れ気味に呟いた隊長の言葉は私の耳には届かなかった。『雷獣の目』になっているからこそ見える景色は、満天の星に次々と光の花が咲いては散るというとても幻想的な光景で、完全に私の心を奪ってしまっていた。

ずっと見たいと憧れていた花火を見れたことが信じられなかった。これから見る事もないのだろうと諦めていたのに、こんな風に叶うなんて思ってもみなかったから、テンションはうなぎ登りだった。


「すごい!あ、隊長あれ顔ですよ!ニ○ちゃんマークみたい!次ハート!えぇぇすごーい綺麗!」

「はいはいそーだねィ」


おざなりな返事もどうでもいいくらい、私は童心に返ってしまっていた。きゃあきゃあと子供のようにはしゃぎ倒し、もはや「すごい」以外に何も言えなくなって、目線すら花火から離せなくて。

だから最後まで、隊長が花火ではなく私を見ていたことには気づけないままなのだった。

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霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!受験お疲れ様です(^o^)頑張ります! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです!受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです!!読んでて進展しててドキドキしました!これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます!(*´∀`)頑張ります! (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです!!!!更新頑張ってください!! (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが頑張ります! (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2018年1月8日 10時

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