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周囲の家にあまり灯りが灯っていない所為で道は薄暗い。きっとほとんどの人が祭りに向かっているのだろう。
しかし隊長はどうして私を外に連れ出すのだろう。夜なんて危ないし……いや、もしかしてちゃんと守れると自負しているからだろうか。
そう考えた瞬間一気に顔に血が集中した。しかも考えてみれば今二人っきりじゃん!
うわぁぁぁ、と顔を抑えたくなる衝動を必死に殺して、せめて意識しないように私は隊長に声をかける。
「あ、あの、どこに向かってるんでしょーか……」
「神社」
ほー、神社……。
……え、神社?
「な、何で神社に?」
全く以て謎の回答に困惑する。神社が目的地とか、隊長の意図が全く読めない。
しかし隊長は「ついてくりゃ分かる」とだけで、きちんと答えようとはしなかった。何だそりゃ、と納得出来ないながらも口を閉じ、私は黙々と隊長の後を歩いた。
***
隊長が向かっているのは小高い山にある無人の神社のようで、山に作られた石の階段を私達は登っていた。夜の山で灯りが無いなんて足下が覚束ない筈だが、何故かここはとても明るい。光源なんて近くに無いはずなのに、と周りを見回すと、示し合わせたように隊長がこちらを振り返った。
「おい、暗いから転んだり……」
──が、何故かそこで言葉が途切れた。ぽかん、と彼が目を丸くしたのに首を傾げる。
「どうかしました?」
隊長はすぐには答えなかった。私の顔を何故かじっと見つめてくるのだ。
え、本当どうした。
「…………お前……。目が、変わって……」
数秒あってからの返答にハッと我に返り、目元に手を当てる。暗いから無意識に『目』を切り替えていたらしかった。道理でやたらと視界が明るかった筈だ。
普段はやらかさない筈なのに、と瞬間的に背筋が冷えるも、待てよと少し冷静になる。隊長は私の事知ってるから何も問題無くないか?しかも周りにはどう考えても人いないし。
安堵して脱力した私は、「あぁ」と少し気の抜けた声を出した。
「言ってませんでしたっけ。私、目を凝らしたら瞳がこんな風になるんですよ。『雷獣の目』って言うんです」
「へぇ……」
割りとすぐに冷静になった隊長は、まじまじと私の目を見つめる。私としては見つめあってる形なので大変落ち着かないのだけれども。
「猫みてェ。それが宇宙一の視力持ってる目なのかィ」
「そですね。生粋の雷獣はいつもこんな目ですよ。私は半分地球人なので違いますけど」
「ふーん……」
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霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!受験お疲れ様です(^o^)頑張ります! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです!受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです!!読んでて進展しててドキドキしました!これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます!(*´∀`)頑張ります! (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです!!!!更新頑張ってください!! (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが頑張ります! (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2018年1月8日 10時